CD帯から。「ジャズピアノの巨人パウエルが、エリントンのプロデュースの下、異郷の地で残した晩年の傑作。ビバップの名曲を中心に、枯れた味わいのなかにも、絶頂期を思わせる渾身プレイを繰り広げる」。まあ、間違いではないのだが、パウエルは1959年から64年までパリを活動の拠点にしているので、パウエルにとっては「異郷の地」という感覚ではないはず。そして、本作を録音した63年2月の時点ではまだ40歳前(66年7月31日に41歳で他界)。「晩年の傑作」というより、「人生を凝縮して生きたパウエル後期の傑作」という感じなのだ。
それよりも、なぜにデューク・エリントンがプロデュースをしたのか。エリントンの代表的なライブアルバムThe Great Paris Concertは、63年2月1日から23日までの公演をまとめている。つまり、エリントンがパリにいた約1か月の間、パウエルに声を掛けて実現したアルバムということなのだろう。では、エリントンは録音スタジオに足を運んだのか。本作には、録音の日付やスタジオのデータが残っていない。従って、エリントンがどこまで関与したのかは不明。ただし、ジャケットのイラストには、パウエルと思われるスーツ姿の後ろに別の人物が。
1. How High The Moon
2. Dear Old Stockholm
3. Body And Soul
4. Jor-Du
5. Reets And I
6. Satin Doll
7. Parisian Thoroughfare
8. I Can't Get Started
9. Little Benny
10. Indiana
11. Blues In B Flat
Bud Powell - piano
Gilbert Rovere - bass
Kansas Fields - drums
Recorded in February 1963 in Paris.