ハンプトン・ホーズは左利きだったのだろうか。見事に決まっているジャケットの写真。煙草を持つ手は左。自分も左手に煙草を持ち続け、50年に近づいた。そもそも、ジャズとは不健康な音楽。かつての日本では、一杯のコーヒーで煙草を何本もくゆらせ、モダンジャズを中心に暗いジャズ喫茶で聴いてきたのだ。まぁ、一種のアングラ文化。
ホーズは、マイルス、コルトレーン、モンク、エバンスなどに比べると、決して大物ではなかったが、ジャズが持っている本来のエッセンスを滲み出してきたピアニストである。別の見方をすれば、マイルスやコルトレーンは、ジャズという枠を超えようとしていたのに比べ、ホーズ自身は根っからジャズが好きだったと言えるかもしれない。それは、6曲目の'Round Midnightに象徴される。「モンクのこの曲は、とてもイマジネーションが湧いてくる。でも、モンクを超えようなんて思っていない。自分らしいミッドナイトを演奏したいんだ」と語っている感じがする。
1. You And The Night And The Music
2. Stella By Starlight
3. Blues For Jacque
4. Yesterdays
5. Steeplechase
6. 'Round Midnight
7. Just Squeeze Me
8. Autumn In New York
9. Section Blues
Hampton Hawes - piano
Red Mitchell - bass
Chuck Thompson - drums
Tracks 1, 3 & 6
Recorded on January 25, 1956 at Contemporary's Studio, Los Angeles, CA.
Tracks 2, 4, 5, 8 & 9
Recorded on December 3, 1955 at Contemporary's Studio, Los Angeles, CA.
Track 7
Recorded on June 28, 1955 at Los Angeles Police Academy, Chavez Ravine, CA.