ライナーノーツで小西啓一氏は、デクスター・ゴードンを「管豪」と称している。なるほど!と思った。確かにその通りなのだが、「管豪」という言葉で誰を想像するかと聞かれれば、まずはソニー・ロリンズと答えるジャズファンが多いのではないだろうか。ロリンズの場合は、「サックスの巨人」とも言われ続けているけれど…。では、このアルバムでゴードンは、他のメンバーを圧倒するような豪傑振りを示しているかと言うと、決してそうではなく全体のバランスを保ちながら、心地よくサックスを吹いている。そのかなめになっているのが、ピアノのケニー・ドリュー。
ゴードンの50年代のディスコグラフィーを見ると悲惨である。いくつかのセッションには参加しているが、リーダーアルバムは、本アルバムを含んで2枚のみ。麻薬にどっぷり浸かっていたのである。CD帯のキャッチコピーは「ワンホーンで快調に吹きまくるデクスター・ゴードンの50年代に残した大傑作。その悠然としたレイジーなノリがプレイ全体に大きなうねりを生む」。50年代に残したというか、2枚しか残さなかったのである。
1. Daddy Plays The Horn
2. Confirmation
3. Darn That Dream
4. Number Four
5. Autumn In New York
6. You Can Depend On Me
Dexter Gordon - tenor saxophone
Kenny Drew - piano
Leroy Vinnegar - bass
Lawrence Marable - drums
Recorded on September 18, 1955 in Hollywood, California.