このアルバムが録音されたのは1987年10月。コールマン57歳。ジャズにおける一つの形を作り上げ、次の世界を目指そうとしていた。そう考えたい。ジャズアルバムとしては珍しく、ぎっしりと11曲が詰まっている。どの曲もポップであり、フリージャズの先駆者というような先入観で聴くと大怪我する。グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが、3曲でゲスト参加。87年9月にコールマンとセシル・テイラーが、デッドのコンサートに参加したのがきっかけのようだ。ローリングストーン誌(1989年3月)に、コールマンの特集記事を見つけた。
出典 https://www.rollingstone.com/music/music-news/ornette-colemans-time-64196/
サブタイトルは「デッドの協力により、ジャズの永遠の偶像破壊者は新しい聴衆を得ようとしている」。以下は、ガルシアが本作に参加したときのコメント。
"I think it’s very accessible. But the setting against which it occurs is real dense. Ornette’s music is strangely simple and difficult at the same time. The notes are not difficult. But the harmonic relationships that linger behind them are really deep."(とても近づきやすい。だが、ほんとうに密度が高いんだ。オーネットの音楽は、奇妙なほど単純だが同時に難解。音符は難しくはない。しかし、その背後にあるハーモニーの関係性が実に深く、消え去りはしない)。コールマンと共演したガルシアだからこそ、語れる言葉だろう。ジャケット両面を見ながら聴いていると、ガルシアが受け取ったイメージがなんとなく浮かび上がってくる。
1. 3 Wishes
2. Bourgeois Boogie
3. Happy Hour
4. Virgin Beauty
5. Healing The Feeling
6. Singing In The Shower
7. Desert Players
8. Honeymooners
9. Chanting
10. Spelling The Alphabet
11. Unknown Artist
Ornette Coleman - alto saxophone, trumpet, violin
Denardo Coleman - drums, keyboards, percussion
Calvin Weston - drums
Jerry Garcia - guitar (tracks 1,6,7)
Bern Nix - guitar
Charles Ellerbie - guitar
Albert MacDowell - bass
Chris Walker - bass
Recorded in October 1987 in NYC.