マッコイがいて、エルビンもいる。もう、それだけでワクワクしてくるアルバム。別テイクを除き、最初の3曲がジョー・ヘンダーソン、残り2曲がケニー・ドーハムの作品。だが、決め手となる曲がない。一流の料理人は揃えたが、材料の仕込みが足りなった感じだ。それでも、マッコイのモーダルなピアノ、エルビンの切れ味鋭いドラムが、どうにか緊張感を保っている。
演奏そのものには多少の不満が残るものの、ジャケットに本作の真髄がある。白のバックに黒のタイポグラフィ。そして、ジョー・ヘンダーソンの赤い文字。しかし、良く見るとメンバー5人の中で、マッコイだけがジャケットに記載されずetc.とされてしまっている。本作の録音から19日後の1964年4月29日、マッコイはウェイン・ショーターのアルバムNight Dreamerに参加。このアルバムにはエルビンも参加していて、本作と同様にジャケットに名前が記載されているが、マッコイはやはりEtcとなっている。マッコイは契約中のインパルスから何らかの制約を受けていたのだろう。
1. In 'N Out
2. Punjab
3. Serenity
4. Short Story
5. Brown's Town
6. In 'N Out [alternate take]
Joe Henderson - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
McCoy Tyner - piano
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums
Recorded on April 10, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.