ある意味、オルガン奏者の宿命なのかも知れない。とにかく、絶え間なく弾き続ける。それは、ベースラインも担うという宿命が働くからなのだろう。演奏者の論理である。聴き手は騒がしくて仕方ない。それを乗り越えることができれば、超一流のオルガン奏者と自分は思っている。だが、ここでのラリー・ヤングのオルガンは聴き手のロジックを受け入れてくれない。ギターのグラント・グリーンも、かなり頑張ってしまっている。むしろ抑え気味なのが、本作の録音時期、コルトレーングループに在籍していたエルビン・ジョーンズ。
しかし、ラスト曲Rithaになると、しっとりした感じのオルガンに切り替わる。この曲だけは、サックスのサム・リバースが参加していないのだ。つまり、アドリブをサックスに受け渡すことを考え、音数(おとかず)が多いオルガンやギターになってしまったようだ。決してリバースが悪い訳ではなく、このセッションにサックスを入れたことが間違い。タイトルは「何かに夢中になって」とでも訳すのだろうか。夢中になり過ぎるのは、良いとは限らない。ジャケットは逸品で、それに救われたアルバム。
1. Tyrone
2. Plaza De Toros
3. Paris Eyes
4. Back Up
5. Ritha
Larry Young - organ
Sam Rivers - tenor saxophone (except track 5)
Grant Green - guitar
Elvin Jones - drums
Recorded on November 12, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.