Abbey Lincoln / Straight Ahead

エリック・ドルフィーを聴きたくて手に入れたアルバム。しかし、多くの名立たるミュージシャンがアビー・リンカーンのボーカルを支えていて、ドルフィーがソロを取る場面は少ない。CD帯から。「伝説的シンガー、アビー・リンカーンの傑作。のちに夫となるマックス・ローチをはじめとする凄腕ミュージシャンたちがバックに参加。ビリー・ホリデイ作詞の〈レフト・アローン〉など数々の名曲を唯一無二の歌唱で描き出す」。レフト・アローンは、マル・ウォルドロン作曲で、ここではピアノも弾いている。それよりも、モンク作のBlue Monkにアビー自身が歌詞を付けて歌ったことが興味深い。

Nat Hentoff(ナット・ヘントフ)によるライナーノーツでは、Blue Monkについて次のように書いている。Monk had to approve the lyrics before this version could be released. He came to the studio, listened, and announced himself pleased. Abbey defines her term "monkery" here as "the act of self-searching, like a monk does.(モンクはスタジオに足を運び、アビーの歌声を聴いて満足し、この歌詞について了解した。ここで、アビーは「モンクのように自己探求すること」をmonkeryと称している)。歌詞の中にはmonkeryが3度出てくる(monkery's the blues, monkery's a slow slow train, monkery's a blue highway)。タイトルをStraight Ahead, Monkeryとしていれば、もっと話題になったアルバム。

1. Straight Ahead
2. When Malindy Sings
3. In the Red
4. Blue Monk
5. Left Alone
6. African Lady
7. Retribution

Abbey Lincoln - vocals
Booker Little - trumpet
Julian Priester - trombone
Eric Dolphy - alto saxophone, bass clarinet, flute, piccolo
Walter Benton - tenor saxophone
Coleman Hawkins - tenor saxophone
Mal Waldron - piano
Art Davis - bass
Max Roach - drums
Roger Sanders, Robert Whitley - congas

Recorded on February 22, 1961 at Nola Penthouse Studios, NYC.

金本麻里 / With The Bop Band

CD制作協力会員(ジョニーズディスクファンクラブ)の一人として、あれこれと語ることはできないアルバム。2015年7月30日。盛岡ジャズの喫茶『開運橋のジョニー』を初めて訪問。そこで、出会ったのが金本麻里さん。焼酎をちびちびと飲んでいる間に、客は自分一人となり、彼女はマイ・フェイヴァリット・シングス、そしてサマー・タイムをアカペラで唄ってくれた。彼女のボーカルを独り占め。何とも贅沢な夜だった。

瀬川昌久氏が2017年3月4日付けのライナーノーツで次のように書いている。「金本麻里のボーカルとバップバンドのジャズ、こんな素晴らしいコンビがあったのか? 流石はジョニーの企画だ。もともと金本麻里の人並み外れた声量とパワーは、通常の伴奏では生かし切れない。クリフォード・ブラウン一筋の村田浩のバップバンドとの共演で、初めて麻里の本領が発揮された」。いやいや、アカペラでも十分に彼女の本領は発揮されるのですよ。それは経験済みなので。

1. Caravan
2. Sentimental Journey
3. How High The Moon
4. Charade
5. What A Wonderful World
6. Stars Feel On Alabama
7. The Man I Love
8. When The Saints Go Marching In
9. Hope
10. Route 66

金本麻里 - vocal
村田浩 - trumpet
岡田嘉満 - tenor saxophone
紅野智彦 - piano
矢野信行 - bass
宮岡慶太 - drums
照井顕 - producer

録音 2016年10月4日 / 北上さくらホール

ジャケットに記載されたCD制作協力会員リスト抜粋

安富祖貴子 / THE BLUES

The Bluesというアルバムタイトルは直球勝負。そして、「セント・ルイス・ブルース」で幕を開け、ゴスペル・グループJumbleのコーラスを交えた「アメイジング・グレース」で幕を閉じると言う構成も心憎い感じだ。残念ながら、沖縄を本拠地としている安富祖貴子のライブは未経験。いつしか、迫力ある歌声を生で聴ければと願っている。彼女を追いかけて沖縄まで、という根性がないのも情けないのだが…。以下は商品解説からの抜粋。

「2006年のデビューアルバム〈魂 / Kon〉を始め、これまで4枚のアルバムを世に放ち、多数の賞を受賞し、その圧倒的な歌唱力でジャズ界において唯一無二の存在になりつつある、沖縄出身のジャズボーカリスト安富祖貴子。本作では〈ブルース〉をテーマに、そのソウルフルなボーカルを全面に打ち出した原点回帰とも言える作品。プロデューサーは国内No.1のベーシスト井上陽介」。そう言えば、井上のベースも生でまだ体験していないのだ。

1. St. Louis Blues
2. Everyday I Have The Blues
3. Please Send Me Someone To Love
4. I'd Rather Go Blind
5. Afro Blue
6. Early In The Morning
7. Left Alone
8. House Of The Rising Sun
9. Willow Weep For Me
10. Route66
11. Softly, As In A Morning Sunrise
12. Amazing Grace

安富祖貴子 - vocals
井上陽介 - bass
納谷嘉彦 - piano
大隅寿男 - drums
川嶋哲郎 - tenor saxophone, soprano saxophone
石田長生 - electric guitar, chorus
大隅卓也 - alto saxophone
Jumble - chorus

Recorded on May 31, June 1 & 2, 2011 at Crescente Studio, Tokyo.