鈴木勲 / Black Orpheus

渡辺貞夫のFM東京の番組「マイ・ディア・ライフ」に鈴木勲がゲストで出演し、セロで「黒いオルフェ」を演奏したのが、今でも耳に残っている。しかし、ネットからはその情報を検索できず、勘違いだったのかも知れない。いずれにしても、大学のジャズ研時代にウッドベースでオルフェのソロを練習したことは間違いない。今でも、左手の運指の感覚が残っている。だが、コンボの課題曲にしたものの、音合わせを数回やってお仕舞になった。アドリブを展開するのは難しい曲である。

そんなことをふと思い出し、2015年3月に購入したアルバム。だが、ジャズを長年聴き続けてきたこともあってだろうか、学生時代に感動した鈴木勲のベースには、それほど驚きがなくなってしまった。地を這うベースでなく、宙を浮いている感じがしてしまう。まぁ、仕方がない。自分の耳が肥えたということではなく、自分の中のジャズが収斂されていったと言うことだろう。

1. Manha De Carnaval
2. Angel Eyes
3. Who Can I Turn To
4. In A Sentimental Mood
5. Blues

山本剛 - piano, electric piano
鈴木勲 - bass, cello
Donald Bailey - drums

Recorded on February 20, 1976 at Aoi Studio, Tokyo.

鈴木勲 / Blue City

2016年8月15日、青春18きっぷで秋田のジャズ喫茶『ロンド』を訪れたとき、このアルバムを流してくれて、何十年か振りに聴いた。大学のジャズ研時代、一年先輩のギタリストが渡辺香津美のフレーズを盛んに練習していたことを思い出した。その先輩が他界してもう何年になるだろう。そんなことを思いながら東北の旅を続けて行った。避けていた訳ではないが、ディスクユニオンで中古LPに出会うことがなく購入できなかったアルバム。『ロンド』の訪問をきっかけにして、その後すぐに購入。香津美を聴きながら先輩のギターの指使いが思い浮かんだことを思い出す。

紙ジャケのライナーノーツには、いソノてルヲ氏と内田修氏の解説が載っているのだが、あまりも字が小さくて読む気になれない。作り手はLPを再現しようとしたのだろうが、購入者のことを全く考えていない。

1. Body And Soul
2. 45th Street - At 8th Avenue -
3. Play Fiddle Play
4. Blue City

渡辺香津美 - guitar
菅野邦彦 - piano
鈴木勲 - cello, bass
井野信義 - bass
小原哲次郎 - drums

Recorded on March 4,1974 at Aoi Studio, Tokyo.

鈴木勲 / Blow Up

学生の頃、所有のLPでよく聴いたアルバム。鈴木勲のベースはうまいなぁと感じていたが、心を揺さぶられる気持ちにはならなかった。ミンガスのような主張がないといったところか…。CDを購入し改めて聴き直したが、彼にのめり込まなかった理由が分かった。アルバムタイトル曲Blow Upは躍動感があってワクワクする。しかし、そこまで。インタープレイがあまりなく、曲の終り方も中途半端。ジャズに限らないが、テクニックだけでは本物になれない。

CDの帯にはこうあった。「最強メンバーによる好演奏、洗練されたジャケットデザイン、オーディオファンも認める高音質と三拍子揃った、TBMレーベルの代表作品かつ日本ジャズ史上の宝物。(塙耕記)」。このアルバムの本質を全く捉えていない。ジャケットは大事である。音質がいいに越したことはない。だが、ジャズを語る時の重要な要素にはなり得ない。自分で語った「好演奏」を分析しなければ、ジャズを語る資格なし。つまり、「好演奏」ではあるが「名演奏」ではないアルバムなのだ。

1. Aqua Marine
2. Everything Happens To me
3. Blow Up
4. Like It Is
5. I Can't Get Started
6. Low Flight

菅野邦彦 / Kunihiko Sugano - piano, electric piano
鈴木勲 / Isao Suzuki - bass, cello
水橋孝 / Takashi Mizuhashi - bass
ジョージ大塚 / George Otsuka - drums

Recorded on March 29 & 30, 1973 at Aoi Studio, Tokyo.