渡辺文男 / All Of Us

CD帯には「大人限定! 大人のジャズファンになりたければ、文男チャンを聴きな。シンプルなレギュラー・トリオでこそ浮彫りになる絶妙なグルーヴ感」とある。一言付け加えるならば、「文男チャンを生で聴きな」としたい。生で聴いて、さらにアルバムを聴くのが、大人のジャズの聴き方。チンさんこと鈴木良雄さんが8曲目のみに参加。ピアノトリオ+セロという構成が、このアルバムの中で、面白い味を出している。

文男さんのライブは、町田Nica'sで何度も聴いてきた。12月29日、文男さんのバースデーライブが年末の楽しみ。しかし、コロナの影響で自分は2年間自粛。今年こそはと願っている。写真は、2019年の81歳を迎えたライブ。左から、鈴木良雄、増尾好秋、峰厚介、渡辺文男、山本剛。なんと、ニューヨーク在住の増尾好秋が帰国して特別参加したのだ。

1. Ah Leu Cha
2. All Of Us
3. 'Round Midnight
4. Ye Headeadeadee
5. Oleo
6. The Other Part Of Town
7. Bitty Ditty
8. This Could Be The Start Of Something Big
9. Beautiful Adela

吉田桂一 - piano
佐々木悌二 - bass (except track 8), cello (track 8)
鈴木良雄 - bass (track 8)
渡辺文男 - drums

Recorded on December 1 & 2, 2007 at King Sekiguchidai 2nd, Studio, Tokyo, Japan.

坂田明 / MOOKO

ドラマーのシャノン・ジャックソンのリーダーアルバムは、Street Priestの1枚しか所有しておらず、他のアルバムも聴いてみたいと探していたら、なんと!坂田明が共演しているアルバムを見つけた。迷わず購入。坂田自身が、本作について以下のように解説している(2009年2月1日付け)。坂田がジャックソンに手紙を出したことで実現したアルバム。全文を掲載する。

1. ニッチモ・サッチモ
2. ひやし節
3. Wann Kann Ich Sie Wiedersehen?
4. 羊飼いの晩餐
5. 騎馬民族の踊り
6. 蒙古

坂田明 - alto saxophone, bass clarinet, piano, vocalism
Bill Laswell - prepared fretless bass 4. 6 & 8 string bass, sitar Bass, violin, ectar
Ronald Shannon Jackson -drums, percussion, scheollmie

Recorded on December 2 & 3, 1987 at Sorcerer Sound, New York.

* * * * *
〈Mooko〉とは言うまでもなく蒙古でありモンゴルである。録音したのは87年で、もう23年前に遡る。シャノン・ジャックソンに「一緒にレコーディングしてもらえないだろうか」と手紙を書いたら、「勿論だが、レコーディングするならビル・ラズウェルにプロデュースしてもらったほうがうまくいく」といわれ、ビルに頼むことになった。

ビル・ラズウェルとはその前年彼のLast exitに入って共演していた。シャノンがドラムスでギターがソニー・シャーロック、サックスはペーター・ブロッツマンであった。轟音が鳴っているにもかかわらず、不思議とうるさくない音に驚いた記憶がある。

私は腹巻になけなしの現金を入れてN.Y.へ飛んだのだが、ビルは大変良くしてくれた。時差ぼけに参った。最後の日には寝過ごした。あわててスタジオへ行くと「サカタ! 出来たぞ」とビルがいった。エンジニアの口バート・ムッソーと二人でもくもくとミックスをしてくれたのである。私のほうは一時が万事、失敗の山だった。

そのときビルと話をして盛り上がったのは〈モンゴリア〉だった。オルティンドーやホーミーといった雄大な草原を想起させる音楽について語った。話は「バンドでモンゴルへ行こうよ!」と大変な話になった。レコード・タイトルは文句なしに『MOOKO』とした。

その頃、私は一方では「ミジンコは凄い」といいながら、もう一方では「モンゴルは凄い」と吹聴して歩いていた。そしたら「新世界紀行」という番組のプロデューサーからお声がかかり、90年11月にホーミーの紹介を主目的でモンゴル高原へ行くことになった。

晩秋の冷え込む大草原でモンゴルの人と共にカセットテープの『MOOKO』を聴いた。音楽は不思議と風景に合っていた。彼らも「是非モンゴルヘバンドをつれてきてくれ」といってくれた。4年後の94年、国際交流基金の主催事業で私とビル・ラズウェルの率いる世界混成13人編成の「ミジンコ空艇楽団」は終にモンゴルで演奏した。N.Y.での約束から7年、快挙といってもおかしくない時代だった。今の朝青龍、白鵬らモンゴル人が日本の大相撲を席捲するとは夢にも思えない、昔のことである。

吉田拓郎 / LIVE 2016

2016年10月27日、パシフィコ横浜で拓郎がボブ・ディランの「風に吹かれて」を歌った。日本時間の同月13日午後8時過ぎ、ディランのノーベル文学賞受賞の発表があった。この曲を入れたのは、拓郎からディランへの祝福メッセージだったのだろう。この日のライブでは、ハーモニカを吹いたのは「旅の宿」だけ。「風に吹かれて」でも吹いて欲しかった。

アンコール前のラスト曲は「流星」。やはり名曲である。カラオケに行くと、必ず「流星」を歌っていた時期が自分にはあった。というか、「流星」を歌うためにカラオケへ行っていた。写真は、「風に吹かれて」を歌う拓郎。そして、「人生を語らず」を歌い終えて、観客に挨拶する拓郎。

Disc 1
1. 春だったね
2. やせっぽちのブルース
3. マークII
4. 落陽
5. アゲイン
6. 朝陽がサン
7. 消えていくもの
8. 唇をかみしめて
9. ジャスト・ア・RONIN
10. いつでも

Disc 2
1. BLOWIN' IN THE WIND
2. 君のスピードで
3. 白夜
4. 旅の宿
5. 全部だきしめて
6. いくつになっても happy birthday
7. 海を泳ぐ男
8. 僕達はそうやって生きてきた
9. 流星
10. ある雨の日の情景
11. Woo Baby
12. 悲しいのは
13. 人生を語らず

DVD: same as Disc 1 & 2

録音 2016年10月27日 / パシフィコ横浜