山下洋輔 / In Europe 1983

CD化でAlone TogetherとBattle Royalの2曲が追加され、LPでは4分33秒にカットされていたPanja Suiteが17分34秒のノーカットで収録。曲順もライブ演奏通りに並べ替えられたようだ。凄みある武田和命のテナーによるスタンダード曲Alone Togetherがアルバムの中間に配置され、ひとつのアクセントとなっている。

洋輔のアルバムは36枚所有。ジャケットを眺めて見ると、彼の変遷がよくわかる。日本を制し、ヨーロッパ、そしてアメリカへと進出。その間に、日本の童謡・落語を題材にし、円周率やピカソを遊び相手にしてきた。1969年9月に山下洋輔トリオ名義でアルバムをリリース。そのブランドを14年間続け、このアルバムで終止符を打った。ある意味、彼の自信と野望を示したアルバムとも言える。ピカソを演じてブランドを脱ぎ捨てたのだ。

1. Panja Suite
2. Strawberry Tune
3. Alone Together
4. Honeymoon Suite
5. Battle Royal
6. Picasso

武田和命 - tenor saxophone
林栄一 - alto saxophone
山下洋輔 - piano
小山彰太 - drums

Recorded on July 8, 1983 at Heidelberger Jazztage.

山下洋輔 / Picasso

洋輔のアルバムは40枚近く所有しているが、このアルバムはワーストに近い。心が揺さぶられないのだ。ヨースケの面白さは想定外にある。10人ものミュージシャンが集まったので、それぞれがまとめようとしたと想像する。まとめればまとめるほど、ヨースケの音楽はつまらなくなる。ピカソという題材を持ち出したのだから、もっと奇想天外な演奏をしてもよかったはず。さらに、1曲目のみのライブ演奏は、たまたまPAからラインアウトしてカセットテープに録音したもの。アルバムとしての一貫性はない。

CD化でトラック5から9の5曲が追加され、その「奇想天外」を期待したが、残念ながら期待外れだった。このアルバムの録音から1年後、83年7月のハイデルベルガージャズテージで演奏したPicassoは、「パブロ・ディエゴ・ホセ・フランチェスカ・デ・パウラ・フアン・ネポムセーノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・クリスピン・クリスピニアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダード・ルイス・イ・ピカソ」のピカソだった。

1. Introduction - First Bridge
2. Leavin' And Laughin'
3. Call Of Dawn
4. Picasso
5. Another Picture
6. The Other Picture
7. Knocking Darkness
8. Several Encounters And The Pilgrim
9. Tae's Theme

山下洋輔 - piano
川端民生 - bass
村上ポンタ秀一 - drums

Track 1
ペッカー - percussion
Tracks 2 - 9
岡野等 - trumpet
粉川忠範 - trombone
松風鉱一 - alto saxophone
武田和命 - tenor saxophone
ボブ斉藤 - tenor saxophone
杉本喜代志 - guitar

Track 1
録音1982年8月9日(六本木ピットイン)
Tracks 2 - 9
録音1982年8月31日 & 9月1, 4 & 5日(テイチク堀之内スタジオ)、9月9 & 18日(テイチク会館スタジオ)、9月10日(サンライズ・スタジオ)

山下洋輔 / 寿限無 Vol.2

山下洋輔自身による解説から抜粋。『タイトルを全部漢字にしたのは、マージャン的発想による。最初に「活動写真」と「寿限無」があった。字牌を集めるという感じで、あとをそれに合わせた』。意味不明なのは3曲目の「第一橋堡」。これは一橋大学で学生達のセッションの時にできた曲だそうだ。問題は2曲目の「漂遊ニ長調」。「ニ」はカタカナなので、ヨースケのチョンボ。満貫払いなのである。

5曲目の「寿限無」で、坂田明のボーカルが炸裂。坂田は手ぶらでセッションに参加。つまり、アルトサックスを持たずに「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ…」と歌うだけのために現れた。ぽんぽこなーの坂田。

1. 音楽乱土
2. 漂遊ニ長調
3. 第一橋堡
4. 活動写真
5. 寿限無
6. 仙波山

山下洋輔 - piano
川端民生 - bass
村上ポンタ秀一 - drums
トニー木庭 - drums
ペッカー - percussion
渡辺香津美 - guitar
坂田明 - vocals
向井滋春 - trombone
清水靖晃 - tenor saxophone
中村誠一 - tenor saxophone
武田和命 - tenor saxophone
林栄一 - alto saxophone
石兼武美 - baritone saxophone
大野ストリングス

録音 1981年7月20 - 8月19日 / 東京・テイチク杉並スタジオ 他