Thelonious Monk / Straight, No Chaser

CD化によってボーナストラックが3曲追加され、全9曲をCDに目一杯詰め込んでギリギリの76分6秒となった。しかも定価1,000円なので、モンクをたっぷり聴くには最高のコストパフォーマンス。だが、よく考えてみると、LPに6曲が収まったのも不思議。Wikipediaで調べてみたら、例えばタイトル曲のStraight, No Chaserは、LPで10分31秒、CDで11分28秒。つまり、音源を切り取って6曲をLPに収めたのだ。プロデューサーはテオ・マセロ。テープにハサミを入れる職人でもある。

本作は、モンクのお気に入りメンバーによる1966年11月と67年1月の録音。注目すべきは、4曲目のJapanese Folk Songで、「荒城の月」のこと。このメンバーで66年5月に日本公演をしているので、その最中に仕入れた曲なのだろう。LPでは11分3秒だったのが、CDでは16分42秒となった。「荒城の月」を15分以上演じたのは、日本人を含めてモンクのグループだけではないだろうか。タイトルはStraight, No Chaserでよいとしても、せめてサブタイトルにKojo no Tsukiと入れて欲しかった。まぁそれよりも、マセロはハサミを入れるのに集中していたのだろう。

1. Locomotive
2. I Didn't Know About You
3. Straight, No Chaser
4. Japanese Folk Song (Kojo no Tsuki)
5. Between The Devil And The Deep Blue Sea
6. We See
7. This Is My Story, This Is My Song
8. I Didn't Know About You [alternate take]
9. Green Chimneys

Charlie Rouse - tenor saxophone (except tracks 5,7)
Thelonious Monk - piano
Larry Gales - bass (except tracks 5,7)
Ben Riley - drums (except tracks 5,7)

Recorded on November 14 & 15, 1966 (tracks 1,2,7-9), January 10, 1967 (tracks 3-6).

Thelonious Monk / Solo Monk

ジャズという音楽は、定義がなかなか難しい。清水俊彦氏は「ジャズをユニークなものにしているのは、短いフレーズ/時間に、エネルギーを圧縮することだ」(ジャズ・ノート 第Ⅱ章 完全な音楽気狂い)と書いている。フリージャズの異端児ジュゼッピ・ローガンを語る上で、清水氏はこのような観点を打ち出した。しかし、この観点だけを取り出すと、「圧縮率」が最も高いのはセロニアス・モンクではないだろうか。

モンクのソロアルバムは4枚。録音順に、Solo On Vogue(1954年6月)、Thelonious Himself(57年4月)、Thelonious Alone In San Francisco(59年10月)。そして、本アルバム(64年10月から65年3月)。この4枚の中での圧縮率の高さは、Thelonious Himselfが群を抜いている。逆に、本アルバムが最も緩い。言い方を変えればリラックスしている。5年振りの単独飛行(ソロアルバム)に、ちょっと緊張気味なジャケットの表情。

1. Dinah
2. I Surrender, Dear
3. Sweet And Lovely
4. North Of The Sunset
5. Ruby, My Dear
6. I'm Confessin' (That I Love You)
7. I Hadn't Anyone Till You
8. Everything Happens To Me
9. Monk's Point
10. I Should Care
11. Ask Me Now
12. These Foolish Things (Remind Of You)
13. Introspection

Thelonious Monk - piano

Tracks 2, 3, 4, 8 & 10
Recorded on October 31, 1964 at Los Angeles, C.A.
Tracks 1, 6, 7, 9 & 12
Recorded on November 2, 1964 at Los Angeles, C.A.
Track 11
Recorded on February 23, 1965 at NYC.
Track 5
Recorded on March 2, 1965 at Jazz Club "Village Gate", NYC.

Thelonious Monk / Live At The Jazz Workshop - Complete

Completeという言葉に弱い。つまり、Completeでない2枚組LPを所有していたのである。LPをせっせと買い漁っていたのは1980年代前半。そのLPのライナーノーツには、自分が押した1984.4.1付けの赤いスタンプがあった。パソコンなどが気軽に買える時代ではなかったので、自分なりに工夫して記録を残していた。今や、アマゾンが注文記録を勝手に保存してくれる。

CDの帯から抜粋。「絶好調を維持するセロニアス・モンク・カルテットがサンフランシスコの有名ジャズクラブで行なったパフォーマンスが完全版として再登場。CD化にあたってLP未収録曲を追加するだけでなく、収録時間上の問題で短縮されていた箇所も元通りに復元されている」。正確なデータがないのだが、Disc 1が1964年11月3日、Disc 2が4日のライブだと思われる。全26曲で2時間28分。録音バランスが良いとは決して言えないが、モンクを追いかけるには外せないアルバム。

Disc 1
1. Don't Blame Me
2. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are
3. Well, You Needn't
4. Evidence / Rhythm-A-Ning
5. Epistrophy (theme)
6. Hackensack
7. Bright Mississippi
8. Evidence
9. Epistrophy
10. 'Round Midnight
11. I'm Getting Sentimental Over You
12. Memories Of You
13. Just You, Just Me
14. Epistrophy

Disc 2
1. Blue Monk
2. Well, You Needn't
3. Bright Mississippi
4. Bemsha Swing
5. 'Round Midnight
6. Nutty
7. Straight, No Chaser
8. Thelonious
9. Hackensack
10. Misterioso
11. Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are
12. Epistrophy (theme)

Charlie Rouse - tenor saxophone
Thelonious Monk - piano
Larry Gales - bass
Ben Riley - drums

Recorded on November 3 & 4, 1964 at The Jazz Workshop, San Francisco, CA.