Thelonious Monk / The Thelonious Monk Trio

このアルバムの内容は決して悪くない。むしろ、モンクの匂いがたっぷり漂うアルバム。ただし、2つの欠点がある。まずはジャケット。余りにもみすぼらしい。イラストの作者は不明。もう一つは、1952年10月と12月、そして1954年9月のセッションをカップリングしてしまったこと。いずれの内容も文句(モンク)はないのだが、2年を跨いだセッションは長過ぎる。つまり、アルバムを作るための録音ではなく、アルバムにするために音源を集めたということ。

さらに言えば、ベースとドラムが異なる3つのセッションを録音順に収録しておらず、シャッフルしてアルバムに収めてしまった。タイトルはThe Thelonious Monk Trioだが固定トリオではなく、2曲目のJust A Gigoloはピアノソロ。それでも、モンク節を十分に楽しめるアルバムなのだ。しかも、ラスト曲These Foolish Thingsでは、モンクの唸り声が鮮明に録音されている。

1. Blue Monk
2. Just A Gigolo
3. Bemsha Swing
4. Reflections
5. Little Rootie Tootie
6. Sweet And Lovely
7. Bye-Ya
8. Monk's Dream
9. Trinkle, Tinkle
10. These Foolish Things

Tracks 1 & 2
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass (track 1)
Art Blakey - drums (track 1)
Recorded on September 22, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3, 4, 9 & 10
Thelonious Monk - piano
Gerry Mapp - bass
Max Roach - drums
Recorded on December 18, 1952 in NYC.

Tracks 5 - 8
Thelonious Monk - piano
Gerry Mapp - bass
Art Blakey - drums
Recorded on October 15, 1952 in NYC.

Thelonious Monk / Solo On Vogue

このアルバムは、麻薬所持の疑いでニューヨークのジャズクラブで演奏できないときに、パリで録音されたもの。LPでの油井正一氏のライナーノーツによると、この麻薬所持はある種の冤罪だったようだ。バド・パウエルの車に乗せてもらった時に検問に会い、車内からヘロインがでてきた。モンクはパウエルを助けるために黙秘したが、結局のところ二人とも有罪。モンクはニューヨークで6年間演奏が出来なくなり、収入源が絶たれた。

そして、初めてのピアノソロにパリで臨んだ訳である。必死に生き抜こうとするモンクがここにいる。3曲目のSmoke Gets In Your Eyes(煙が目にしみる)以外は、全てモンクのオリジナル曲。'Round Midnightでは音を探しているモンクの姿が浮かび上がってくる。所有していたLPと、新たに購入したCDではジャケットが異なり、恐らくCD化でオリジナルジャケットに戻したのだろう。CDのライナーノーツで原田和典氏が、ジャケットのセロニアスの綴り間違いを指摘していて、初めて気が付いた。モンクといえども、このアルバムが録音された1954年頃は、まだまだ無名だったことが分かる。

1. 'Round Midnight
2. Evidence
3. Smoke Gets In Your Eyes
4. Well, You Needn't
5. Reflections
6. Wee See
7. Eronel
8. Off Minor
9. Hackensack

Thelonious Monk - piano

Recorded on June 7, 1954 in Paris.

Thelonious Monk / Thelonious Monk Quintet

1953年11月13日と54年5月11日のセッションを1枚にまとめたアルバム。タイトル通りに、どちらもクインテットによる演奏なのだが、メンバーは全く異なる。LPのA面が54年で、B面が53年と時期が遡る構成も不思議である。いろいろと調べてみたら、その理由が分かった。

54年のセッションは、その年に10インチLPとしてリリース。タイトルは本アルバムと同じで、A面がWee SeeとSmoke Gets In Your Eyes、B面がLocomotiveとHackensackという配置。そして、56年に12インチLPとして再リリースする際、従来の4曲をA面に、53年のセッションをB面に入れた訳である。

LPの裏面には53年のセッションを統括したIra Gitler(アイラ・ギトラー)の英文解説があり、非常に興味深い内容だ。セッションに参加予定だったトランペットのRay Copeland(レイ・コープランド)が病気になり、フレンチ・ホルンのJulius Watkins(ジュリアス・ワトキンス)が急に呼び出された。さらに、モンクとロリンズが乗ったタクシーがオートバイの後部と衝突し、スタジオへの到着が遅れた。セッションが開始しても、ワトキンスには初見の曲だったため録音に手間取ったようだ。何とかLet's Call, This Think Of One, Friday The 13thの3曲を録り終えたのは、スタジオが閉まる直前。Friday The 13thは、このアルバムには入っていないが、改めて公開されるだろうと書いている。そして、ギトラーがプロデュースしたアルバムThelonious Monk and Sonny RollinsにFriday The 13thが収録された。

1. Wee See
2. Smoke Gets In Your Eyes
3. Locomotive
4. Hackensack
5. Let's Call This
6. Think Of One [take 2]
7. Think Of One [take 1]

Tracks 1, 2, 3 & 4
Frank Foster - tenor saxophone
Ray Copeland - trumpet
Thelonious Monk - piano
Curly Russell - bass
Art Blakey - drums
Recorded on May 11, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 5, 6 & 7
Sonny Rollins - tenor saxophone
Julius Watkins - French horn
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass
Willie Jones - drums
Recorded on November 13, 1953 at WOR Studios, NYC.