Thelonious Monk / The Unique

ジャケット裏にはサブタイトル的にvery personal treatments of great standardsと書かれている。「名高いスタンダード曲の極めて個人的な奏法(解釈)」と、タイトルThe Uniqueを補足している形だが、そもそもジャズとはそういう音楽なので、モンクの場合は、「他のミュージシャンとは全く異なる奏法」と補足すべきだろう。粟村政昭氏は、ライナーノーツの最後で次のように結んでいる。粟村氏はサブタイトルに気がつかなかったようだ。

ここに収められた7曲のスタンダードナンバーに聞かれるモンクの解釈は、いわゆるスタンダード曲なるものに対する聞き手のイメージを、皮肉な笑みを浮かべながら次々に覆していくような、小さな意外性の連続となっている。言うならば、これがモンク流の乾いたユーモアということなのであろうが、もしアルバムタイトルの『ザ・ユニーク』という言葉がこの点を指しているものとするならば、ここに収められた音楽に対する献辞は、まさにユニークなる言葉以外の何物でもあり得まい。

1. Liza
2. Memories Of You
3. Honeysuckle Rose
4. Darn That Dream
5. Tea For Two
6. You Are Too Beautiful
7. Just You, Just Me

Thelonious Monk - piano
Art Blakey - drums (tracks 1,3-7)
Oscar Pettiford - bass (tracks 1,3-7)

Recorded on March 17 and April 3, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Thelonious Monk / Plays Duke Ellington

モンクのアルバムの中では、「非」個性的な一枚である。モンクがエリントンの曲を演奏しても、当然ながらモンクに変わりはないのだが、モンクらしさが霧の中に隠れてしまっている。自分自身とは葛藤せずに、まとめることに注力。しかし、それを望んだのはモンクではない。LPのライナーノーツでは、油井正一氏がこのアルバムの経緯を詳しく書いている。

当時、モンクが在籍していたプレスティッジにはマイルスやMJQがいて、モンクは不遇であった。ナット・ヘントフにリバーサイドへの移籍を勧められ移ったものの、オリン・キープニュースらの企画によって、大衆受けを狙ったエリントン作品集を演奏させられてしまった。ヘントフは、その結果にがっかりして失敗作と評価。その評価が尾を引き、やがては入手困難となって「幻の名盤」に。ジャケットはルソーの「ライオンの食事」。『モンク=ライオン』とすれば、モンクをうまく手なずけたという意味だろうか。

1. It Don't Mean A Thing (If It Ain't Got That Swing)
2. Sophisticated Lady
3. I Got It Bad (And That Ain't Good)
4. Black And Tan Fantasy
5. Mood Indigo
6. I Let A Song Go Out Of My Heart
7. Solitude
8. Caravan

Thelonious Monk - piano
Oscar Pettiford - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on July 21 & 27, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Thelonious Monk / Thelonious Monk and Sonny Rollins

3つのセッションから5曲を集めたアルバム。ロリンズは2つのセッションで3曲に参加。タイトルはモンクとロリンズの共演なのだが、それよりラスト曲「13日の金曜日」をタイトルにすべきだった。1953年11月13日のセッションは、まさしく金曜日。アルバムThelonious Monk Quintetのブログにも書いたが、この日のセッションはトラブルが相次いだ。スタジオが閉まる前にどうにか録り終えたのがこの曲である。モンク作であるが、曲名はセッション時ではなくアルバム制作時に付けられたのではないだろうか。

そして、モンクはこの「13日の金曜日」をもう一度だけ録音している。アルバムThe Thelonious Monk Orchestra At Town Hallで、59年2月28日(土)のライブ演奏。モンクの味が十分に出ている曲ながら、これら2枚のアルバムにしか残っていない。なので、このアルバムThelonious Monk and Sonny Rollinsはロリンズを引き合いに出すより、タイトルを「13日の金曜日」にして、スリリングなセッションのイメージを出すべきだった。もちろん、ジャケットも手を抜かずに。

1. The Way You Look Tonight
2. I Want To Be Happy
3. Work
4. Nutty
5. Friday The 13th

Tracks 1 & 2
Thelonious Monk - piano
Sonny Rollins - tenor saxophone
Tommy Potter - bass
Art Taylor - drums
Recorded on October 25, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 3 & 4
Thelonious Monk - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on September 22, 1954 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 5
Thelonious Monk - piano
Sonny Rollins - tenor saxophone
Julius Watkins - French horn
Percy Heath - bass
Willie Jones - drums
Recorded on November 13, 1953 at WOR Studios, NYC.