Stan Getz / Sweet Rain

後藤雅洋氏著『一生モノのジャズ名盤500』では、本作をこう紹介している。「ジャズを聴き始めたばかりのころ、このアルバムが新譜で大ヒットした。〈中略〉ゲッツのソロはけっこう気合いが入っている。クール・テナーなどというキャッチコピーが空々しいほどの熱気。サイドのチック・コリアはこのアルバムで人気が出た」。本作のリリースは1967年7月。その頃、自分は小学校高学年。当然ながら、大ヒットしたことなんて知らないし、大学のジャズ研でジャズにどっぷり浸かるようになっても、仲間と話題になるようなことはなかった。

では、なぜに当時は大ヒットしたのだろう。もしかすると、コルトレーンの死と関係あるのかも知れない。巨大な柱を失った時、新風が吹き込んでジャズという音楽の幅広さを実感したのかも知れない。後藤氏の見解をぜひとも聞いてみたい。

1. Litha
2. O Grande Amor
3. Sweet Rain
4. Con Alma
5. Windows

Stan Getz - tenor saxophone
Chick Corea - piano
Ron Carter - bass
Grady Tate - drums

Tracks 1, 2 & 3
Recorded on March 21, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 4 & 5
Recorded on March 30, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Stan Getz / GETZ / GILBERTO

「ボサノバの神」と呼ばれたジョアン・ジルベルトとスタン・ゲッツによる共作。しかし、スタンがボサノバを理解していないことにジョアンが怒り、レコーディング中は緊張感が漂ったらしい。確かに所有する輸入盤CDには、セッションの様子などを伝える写真は一枚も掲載されていない。CDにはオリジナルのライナーノーツが記載されていて、ジョアンが以下のように書いている。

Despite our good friendship I never forget that Stan Getz is a great artist.(私はスタン・ゲッツが素晴らしいアーティストであることを決して忘れない)。さらに、Jobin said "It's unbelievable the way Getz assimilates the spirit of the Brazilian music!"(ジョビンは「ゲッツがブラジル音楽の精神を吸収するのは信じられない!」と言った)。アントニオ・カルロス・ジョビンを引き合いに出している。まぁ、レコーディングが無事に終わって、ジョアンは少し冷静になったのだろう。

1. The Girl From Ipanema
2. Doralice
3. Para Machucar Meu Coração
4. Desafinado
5. Corcovado
6. Só Danço Samba
7. O Grande Amor
8. Vivo Sonhando
9. The Girl From Ipanema [45 rpm issue]
10. Corcovado [45 rpm issue]

Stan Getz - tenor saxophone
Astrud Gilberto - vocals
Joao Gilberto - guitar, vocals
Antonio Carlos Jobim - piano
Sebastiao Neto - bass
Milton Banana - drums

Recorded on March 18 & 19, 1963 at A&R Recording Studios, NYC.

Stan Getz / Stan Getz Plays

全16曲が3分前後。つまり、ジャズの醍醐味であるインタープレイは期待できないが、心に沁みるスタン・ゲッツのサックスをたっぷり堪能するアルバム。タイトルも、そのものずばりである。プロデューサーであるノーマン・グランツのアイデアだったと思うが、Jimmy Raney(ジミー・レイニー)のギターを入れたことが一つの味付けになっている。

ほとんどの曲が一発録りで完了したのではないかと思い、ゲッツのディスコグラフィーを調べてみた。例えば、The Way You Look Tonightは959-1、'Tis Autumnは958-9と管理番号が付いている。ハイフンの次の数値がテイク数だとすれば、The Way ...は一発で完了、'Tis ...は9回録り直したことになる。さて、どうだったのだろうか。

1. Stella By Starlight
2. Time On My Hands
3. 'Tis Autumn
4. The Way You Look Tonight
5. Lover, Come Back To Me
6. Body And Soul
7. Stars Fell On Alabama
8. You Turned The Tables On Me
9. Thanks For The Memory
10. Hymn Of The Orient
11. These Foolish Things (Remind Me Of You)
12. How Deep Is The Ocean
13. Nobody Else But Me
14. Down By The Sycamore Tree
15. I Hadn't Anyone Till You
16. With The Wind And The Rain In Your Hair

Tracks 1 - 12
Stan Getz - tenor saxophone
Jimmy Raney - guitar
Duke Jordan - piano
Bill Crow - bass
Frank Isola - drums
Recorded on December 12 & 29, 1952 in NYC.

Tracks 13 - 16
Stan Getz - tenor saxophone
Jimmy Rowles - piano
Bob Whitlock - bass
Max Roach - drums
Recorded on January 23, 1954 in Los Angeles, CA.