Sonny Rollins / Love At First Sight

内藤遊人氏による解説から抜粋。『スタンリー・クラーク、ジョージ・デュークというふたりの共演者に興味が湧く。ロリンズに国際電話して聞いたところでは、「スタンリー・クラークから電話があって、一緒にやりたい、ステージでも、レコーディングでもいいから、ということなので、それじゃ今回のレコーディングを一緒にやろう」と話がまとまったらしい。メンバーの人選はそこから始まって。ジョージ・デューク、アル・フォスター、ビル・サマーズという5人に決定したという』。自分も、ジョージ・デュークやスタンリー・クラークをなぜに今さら担ぎ出してきたのかと疑問に思っていた。このアルバムの発起人は、スタンリー・クラークということだ。

さらに、内藤氏はロリンズのやっているジャズを次の5項目で結論付けている。
1. テナーサックスの音色が、力強く豪快で、彼以前の誰よりも魅力的である。
2. アドリブ・フレーズが次々と豊かに展開され、しかも、単なる機械的な連結ではなく、メロディアスである。
3. リズムの乗りに彼独特のタイミングがあって、これが新鮮なスイング感を与えてくれる。
4. 特にバラードで聴けるテーマ部のやさしい歌いかけが素晴らしい。
5. 単なるポップ・チューンを、いとも簡単に自分のジャズにしてしまう。

確かにその通りで反論の余地がない。ただ、このアルバムを聴いても思うのだが、「前進」という言葉が浮かんでこない。ジャケット裏にSpecial thanks to Dallas Smith and his lyricon.とあった。人の楽器を借りているようじゃ、前進しないなと思ってしまうのだ。

1. Little Lu
2. The Dream That We Fell Out Of
3. Strode Rode
4. The Very Thought Of You
5. Caress
6. Double Feature

Sonny Rollins - tenor saxophone (except track 2), lyricon (track 2)
George Duke - piano, electric piano
Stanley Clarke - electric bass
Al Foster - drums (tracks 1-3,5)
Bill Summers - congas, percussion (tracks 1,5)

Recorded on May 9, 10, 11 & 12, 1980 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Sonny Rollins / Don't Ask

プロデューサーはオリン・キープニュース。ロリンズとラリー・コウエルの組合せは彼のアイデアなのだろう。コウエルは全7曲中の5曲に参加し、2曲はアコースティックギターでロリンズとデュオ。残り3曲はエレクトリックギターである。さらに、ロリンズはリリコンを使って1曲吹いている。手を変え品を変えて、アルバムに変化をもたらそうとしたことが良く分かる。

売れるアルバムを作ることは決して悪くないが、ロリンズがほんとうにやりたかったジャズなのだろうか。ロリンズ本人に聞いてみたい。「そんなことを聞くなよ - Don't Ask」と答えが返ってくるのだろうか。ロリンズのディスコグラフィーを見ると、コウエルとのセッションはこのアルバムのみ。ロリンズは作らせられた感じがする。ジャケットの写真にも覇気がない。

1. Harlem Boys
2. The File
3. Disco Monk
4. My Ideal
5. Don't Ask
6. Tai-Chi
7. And Then My Love Found You

Tracks 2 & 4
Sonny Rollins - tenor saxophone
Larry Coryell - acoustic guitar (track 2: 12-string, track4: 6-string)

Tracks 1, 3, 5, 6 & 7
Sonny Rollins - tenor saxophone (except track 6), lyricon (track 6), piano (track 3)
Larry Coryell - electric guitar (except tracks 1 & 6)
Mark Soskin - piano, electric piano, synthesizer
Jerome Harris - electric bass
Al Foster - drums
Bill Summers - congas, percussion

Recorded on May 15, 16, 17 & 18, 1979 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

Sonny Rollins / Don't Stop The Carnival

2枚組輸入盤LPを所有していたので、日本語ライナーノーツがなく、このライブコンサートのバックグランド的な知識は持っていなかった。今回、見開きのジャケットの中にプロデューサーであるオリン・キープニュースの解説があることを知り、Free Online OCRとGoogle翻訳の力を借りて訳してみた(楽な時代になったものだ)。このライブは、ロリンズが1978年1月にカーネギーホールでコンサートをやったときにキープニュースと企画したらしい(こちらのコンサートはアルバム化されていない)。ロリンズからドナルド・バードとの共演の提案があり企画が進んで行った模様。サンフランシスコのグレート・アメリカン・ミュージックホール(470人収容)をリハーサルを含めた4日間押さえ、最後にドラムがトニー・ウィリアムスに決まったとのこと。

3日間連続のコンサートで計6セット。その中からメンバー紹介を含む10曲がアルバムに収録された。バードは5曲で参加している。キープニュースはロリンズとバードの共演は20年振りと解説。調べてみると、アルバムSonny Rollins Vol.1(56年12月16日録音)での1回しか共演はなく、正確には21年4か月振りである。リハーサルを1日やっただけでは、二人の丁々発止のやり取りとはならなかったのだろう。残念ながら、いま一つ盛り上がりに欠けるアルバム。カーニバルはもう終わったという感じ。

1. Don't Stop The Carnival
2. Silver City
3. Autumn Nocturne
4. Camel
5. Introducing The Performers
6. Nobody Else But Me
7. Non-Cents
8. A Child's Prayer
9. President Hayes
10. Sais

Sonny Rollins - tenor saxophone, soprano saxophone
Donald Byrd - trumpet, flugelhorn (tracks 6-10)
Aurell Ray - electric guitar
Mark Soskin - piano, electric piano
Jerome Harris - electric bass
Tony Williams - drums

Recorded on April 13, 14 & 15, 1978 at The Great American Music Hall, San Francisco, CA.