Oscar Peterson / The Way I Really Play

邦題は『オスカー・ピーターソンの世界』。だが、ベストアルバムのタイトルのように思えてしまう。もう一歩近づいて『オスカー・ピーターソンの至芸』ではどうだろうか。まぁ、それも嫌味な感じがしてしまうが、とにかく完璧な演奏。では、ジャズのリスナー全てが「完璧」を求めているかというと、そこが問題なのである。

ピーターソンのピアノは最高のテクニックであることは認めるが、ピーターソン自身が酔っている感じだ。リスナーを酔わせる余裕を感じない。アルバムを聴き終わって、とても心地よい。だけど、次に期待するものがない。変革の兆しを感じないのである。結局のところ、文句のつけようもなく、このアルバムもやはり百点満点。

1. Waltzing Is Hip
2. Satin Doll
3. Our Love Is Here To Stay
4. Sandy's Blues
5. Alice In Wonderland
6. Noreen's Nocturne

Oscar Peterson - piano
Sam Jones - double bass
Bobby Durham - drums

Recorded on November 12, 1967 at Private Studio Of Hans Georg Brunner-Schwer Studio, Villingen, West Germany.

Oscar Peterson / Night Train

ピーターソンのピアノ・テクニックに対して、非常に評価の高いアルバム。それは否定しない。だけど、自分としては聴く順番を間違えてしまったアルバムである。モンク、パウエル、エバンス、キースなどを聴き込んでから、このアルバムに出会った。そのため、どうしようもなく物足りない。技ではなく、心を揺さぶるジャズでしか酔えない体になってしまった。

録音は1962年暮れ。ジャズはすでに大きく変化していたにもかかわらず、ピーターソンは自分達がやれるジャズしかやっていなかったという事実。それが刻まれたアルバムとも言える。ピーターソンならば朝飯前の演奏。なのに、タイトルが「ナイト・トレイン」とは、これ如何に。特にラスト曲「自由への讃歌」の評価が高いようだが、時代背景を考えれば「不自由」でしかない。黒鍵の出番は極めて少なく、白鍵ジャズなのだ。

1. C Jam Blues
2. Night Train
3. Georgia On My Mind
4. Bags' Groove
5. Moten Swing
6. Easy Does It
7. Honey Dripper
8. Things Ain't What They Used To Be
9. I Got It Bad And That Ain't Good
10. Band Call
11. Hymn To Freedom

Oscar Peterson - piano
Ray Brown - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on December 15 & 16, 1962 in Los Angeles, CA.

Oscar Peterson / The Trio

LPが発売されたときは、邦題『ピアノトリオの真髄』が付いた。しかし、その時点ではシカゴのジャズクラブでのライブ演奏ということだけで、録音日は1960年から61年と曖昧になっていた。CDで再販されると、録音日は明確になったものの、『オスカー・ピーターソン・トリオの真髄』という邦題。なぜか「真髄」にこだわっている。ピーターソン・トリオだけがピアノトリオの本質を貫いている訳ではないのだが・・・。

CDの帯には3曲目の「シカゴ」が必聴と書かれていて、LPのライナーノーツでは、スタンダードナンバーと位置付けている。たしかに、ダイナミックな構成はピーターソンの得意技だが、他のプレイヤーの「シカゴ」は聴いたことがない。それよりも、6曲目のベニー・ゴルソン作「ウィスパー・ノット」が一番の聴きどころだろう。キース・ジャレットやレイ・ブライアントなどのピアノトリオと聴き比べができ、「真髄」なんて言葉をたやすく使ってはイケナイことがわかる。

1. I've Never Been In Love Before
2. (In The) Wee Small Hours (Of The Morning)
3. Chicago, That Toddling Town
4. The Night We Called It A Day
5. Sometimes I'm Happy
6. Whisper Not
7. Billy Boy

Oscar Peterson - piano
Ray Brown - double bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on July 28 & 29, 1961 at The London House Jazz Club, Chicago.