Oscar Peterson / Girl Talk

1965年末から68年4月までのピアノソロを含む4回のセッションを組み合わせたアルバム。そのいずれもが、ドイツのレーベルMPSのオーナーであるHans Georg Brunner-Schwer(ハンス・ゲオルク・ブルナーシュワー)の自宅スタジオでの録音。同時期に行なわれた67年11月12日のセッションは、アルバムThe Way I Really Playとして、本作と同様に68年にリリースされているので、この2枚は姉妹編と捉えることができる。

The Way ... は熱の入った演奏で、オスカー・ピーターソン自身が酔っている感じだ。それに比べ、本作は少し落ち着いた雰囲気。各セッションの録音日が特定されていないことからも、録り溜めたテープから抜粋したのだろう。しかし、自宅にスタジオがあるというのは何とも贅沢。そして、そのスタジオに一流のミュージシャンを海外から何度も呼び寄せた訳である。まぁ、道楽アルバムなのだ。

1. On A Clear Day You Can See Forever
2. I'm In The Mood For Love
3. Girl Talk
4. I Concentrate On You / Moon River
5. Robbins' Nest

Oscar Peterson - piano
Recorded at Private Studio Of Hans Georg Brunner-Schwer, Villingen, West Germany.

Track 1 & 3
Sam Jones - bass
Bobby Durham - drums
Recorded in November, 1967.

Track 2
Sam Jones - bass
Louis Hayes - drums.
Recorded in November, 1966.

Track 4
Recorded in April, 1968.

Track 5
Ray Brown - bass
Louis Hayes - drums.
Recorded in late 1965.

Oscar Peterson / We Get Requests

タイトルWe Get Requests(リクエスト承ります)とジャケットが見事に一致。オスカー・ピーターソンが、会場からのリクエストに応えようとしている感じ。だが、本作はスタジオ録音。確かにジャケットにはLIVEの文字はないが、工業製品ならば訴えられても仕方ない。ライナーノーツで、油井正一氏が次のように書いている。

「ピーターソン・トリオは、ナイト・クラブで演奏するとき、よく流行中のヒット曲のリクエストをうけるという。お客が彼をからかっているのではない限り、進んで演奏するそうだ。大先輩のアート・テイタムと同様、こうしたものの取り扱い方がすぐれているピーターソン・トリオは、ヴァーヴへの置きみやげに、そうしたレパートリーを集めた本アルバムを残した」。ピーターソンは、本作録音後の65年にドイツMPSレコードに移籍。なぜにヴァーヴを去ったのか。リクエストに応える芸人稼業は卒業と判断したに違いない。40歳になったばかりのピーターソンの決断。

1. Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)
2. Days Of Wine And Roses
3. My One And Only Love
4. People
5. Have You Met Miss Jones?
6. You Look Good To Me
7. The Girl From Ipanema
8. D & E
9. Time And Again
10. Goodbye J.D.

Oscar Peterson - piano
Ray Brown - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on October 19 and November 20, 1964 at RCA Studios, NYC.

Oscar Peterson / Walking The Line

以前、新品のCDで6千円近くだった。廃盤状態になっていたのだろう。コンディション良好で安価な中古CDが出てくるのをじっと待っていて、ようやく600円(送料別)で手に入れた。期待していたのは、ジャケットの差替え。LPは肌や髪の毛を奇妙な色で塗り込んでいるイラスト。ピーターソンはカナダ出身であるが黒人。このイラストは差別的な意味合いがあると感じていた。だが、CDのジャケットはLPをそのまま流用。残念である。

さて、アルバムの中身は差別をモノともせず百点満点。ジョージ・ムラーツのベースもよくスイングしピーターソンをサポートしている。Ray Priceのドラムも決して悪くないが、何者なのかは全く不明。ピーターソンのディスコグラフィーを見ると、Ray Priceとのセッションはこの時のみ。輸入盤CDのライナーノーツにも、ドラマーについてはほとんど触れていない。トラ(代役)だったのかも知れない。スイングジャーナル1976年4月臨時増刊『世界ジャズ人名辞典』にも登場していない。

1. I Love You
2. Rock Of Ages
3. Once Upon A Summertime
4. Just Friends
5. Teach Me Tonight
6. The Windmills Of Your Mind
7. I Didn't Know What Time It Was
8. All Of You

Oscar Peterson - piano
George Mraz - bass
Ray Price - drums

Recorded on November 10, 11, 12 & 13, 1970 at Hans Georg Brunner-Schwer Studio, Villingen, West Germany.