McCoy Tyner / Inception

1962年1月録音のマッコイの初リーダーアルバム。ベースはアート・デイビス、ドラムはエルビン・ジョーンズ。2ヵ月前の1961年11月には、コルトレーングループのビレッジ・バンガード4日間ライブで実力をすでに発揮。遅すぎたリーダー作である。このアルバムの聴きどころは最終曲のSpeak Low。マッコイ風味がよく出ている。

そして、Speak Lowと言えば、ウォルター・ビショップ・ジュニアのこのタイトルアルバム。こちらは1961年3月録音で、ベースはジミー・ギャリソン。Speak LowはB面最後に置かれている。

時代を少し遡り、1957年9月録音のソニー・クラークのアルバムSonny's Cribでは、コルトレーンがSpeak Lowを吹いている。Speak Lowとコルトレーングループ。アルバムだけでなく、収められた曲を中心に聴くと違った面白みが出てくる。

1. Inception
2. There Is No Greater Love
3. Blues For Gwen
4. Sunset
5. Effendi
6. Speak Low

McCoy Tyner - piano
Art Davis - bass
Elvin Jones - drums

Tracks 1, 4 & 5
Recorded on January 11, 1962. at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 2, 3 & 6
Recorded on January 10, 1962. at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Marion Brown / November Cotton Flower

1979年6月21-22日録音。日本での発売はいつだったのか分からないが、所有していたLPのライナーノーツには1984年4月1日付けの自分のスタンプがあった。ネット上のカレンダーをめくったら日曜日なので、間違いないだろう。今から36年前で、社会人4年目。給料は安く、その中からレコードに費やす額を決め、残りの金で生活していた。軸は仕事ではなく、ジャズだった。それは今でも変わらない。生きる肥やしなのだ。

このNovember Cotton Flowerは、マリオン・ブラウンにとって変局点になったアルバムだと思っている。だからこそ、安月給のときでも購入したLPの1つ。プロデューサーは小沢善雄氏。レコーディングやジャケット写真など、日本人が多くかかわっているアルバムである。

1. November Cotton Flower
2. La Placita
3. Fortunato
4. Pleasant Street
5. Sweet Earth Flying

Marion Brown - alto saxophone
Karl Rausch - guitar (tracks 1,5)
Hilton Ruiz - piano
Earl May - bass
Warren Smith - drums, percussion

Recorded on June 21 & 22, 1979 at Sound Ideas Studios, NYC.

Marion Brown / Vista

このアルバムを購入して、一曲目のMaimounを初めて聴いた時、ドキッとしたことを良く覚えている。日野元彦の名曲「流氷」とベースラインが非常に良く似ているのだ。今回、改めてライナーノーツを読んだところ、この曲はスタンリー・カウエルの1974年頃の作品であることを確認。「流氷」は76年2月7日のライブ録音である。元彦がどこかでMaimounを聴いて、インスピレーションが湧いた可能性がないとは言えない。なお、カウエルは2020年12月17日に79歳で他界していた。なんとも…、自分の誕生日である。

CD帯から。「漆黒の美がきらめくバラード・アルバム。新生マリオン・ブラウンの真髄がここに。前衛的なプレイで60年代ジャズに刺激を与えたブラウンが一転、ソウルフルでメロディアスな魅力を存分に発揮した話題作。スティーヴィー・ワンダー作〈ヴィジョンズ〉のカバーがとりわけ美しい」。漆黒の美…、インスピレーションが湧かない。

1. Maimoun
2. Visions
3. Vista
4. Moment Of Truth
5. Bismillahi 'Rrahmani' Rrahim
6. Djinji

Marion Brown - alto saxophone, wind chimes
Anthony Davis - piano, electric piano
Stanley Cowell - piano, electric piano (tracks 1-4)
Bill Braynon - celeste, electric piano (tracks 1-4)
Reggie Workman - bass (tracks 1,3-6)
Jimmy Hopps - drums (tracks 1,3-5)
Ed Blackwell - drums, slit drums (tracks 3,6)
Jose Goico - congas, tambourine (tracks 1,3-6)
Allen Murphy - vocals (track 2), bells (track 5)
Harold Budd - celeste, gong (track 5)

Recorded on February 18 & 19, 1975 at Generation Sound Studios, NYC.