Marion Brown / JUBA-LEE

LPのライナーノーツで児山紀芳氏がこう締めくくっている。「ジュバ・リーは、決してラジカルなニュー・ジャズではないが、いかにも知的なマリオンがそこを通過する過程で記録した、今なお新鮮に響く記念さるべき秀作といえよう」。録音は1966年11月。いつ書かれたものか定かではないが、児山氏の文章「新鮮に響く」という箇所に引っかかってしまう。

1960年代半ば、時代の流れに吸い込まれるように録音したアルバムではないだろうか。マリオン・ブラウンが、自分の目指すジャズを表現したとは思えない。彼の一つの到達点は、アルバムNovember Cotton Flowerだったはず。であれば、「今なお苦悩の時代を映した記念さるべき秀作」としたい。本作は一時的にCD化されたようだが、完全に廃盤状態。65年11月のセッションとカップリングして、曲数を絞ったアルバムCapricorn Moon To Juba Lee Revisitedが3,500円で入手可能だが、触手は動かない。

1. 512e12
2. The Visitor
3. Juba-Lee
4. Iditus

Marion Brown - alto saxophone
Grachan Moncur III - trombone
Alan Shorter - trumpet, flugelhorn
Bennie Maupin - tenor saxophone
Dave Burrell - piano
Reggie Johnson - bass
Beaver Harris - drums

Recorded in November 1966 in NYC.

Marion Brown / Offering

マリオン・ブラウンのアルバムNovember Cotton Flower(1979年6月録音)は、自分の愛聴盤の一つ。それ故に、80年代以降のブラウンの活動を知りたくて購入したのが本作。CD帯から。「マリオンのピュアな心がダイレクトに伝わる感動的ジャズアルバム!コルトレーンなどジャズ・ジャイアント達へのスピリチュアルな音楽の捧げ物として作られた。マリオンの美しいアルト・サウンドが響きわたるホットでエモーショナルなこのアルバムは、後世に残る傑作の1枚」。異議なし!スイングジャーナルのゴールド・ディスクに選定されたのもうなずける。

2曲目Self Portrait In Three Colorsはミンガスの作品でアルバムMingus Ah Um(59年5月録音)に、ラスト曲After The Rainはコルトレーンの作品でアルバムImpressions(63年4月録音)に、それぞれ収録されている。ブラウンとコルトレーンの距離は近かったはずだが、意外にも共演作はアルバムAscensionのみ。そして、ミンガスとブラウンのアルバムでの共演は見当たらない。それぞれのオリジナル演奏と聴き比べてみたが、ブラウンはそれらの曲想を尊重して演奏していることがわかる。バックのミュージシャンもそれに十分に応えているのだ。本作も愛聴盤に加わった。

1. Terra
2. Self Portrait In Three Colors
3. Ode To Coltrane
4. Sly Entrance
5. Golden Lady In The Graham Cracker Window
6. Berkshire Blues
7. After The Rain

Marion Brown - alto saxophone
Jay Messer - guitar
Tom McClung - piano
Mike Marcus - bass
Chris Dailey - drums

Recorded on October 7, 1992 at Sear Sound Studio in NYC.

Marion Brown / November Cotton Flower

1979年6月21-22日録音。日本での発売はいつだったのか分からないが、所有していたLPのライナーノーツには1984年4月1日付けの自分のスタンプがあった。ネット上のカレンダーをめくったら日曜日なので、間違いないだろう。今から36年前で、社会人4年目。給料は安く、その中からレコードに費やす額を決め、残りの金で生活していた。軸は仕事ではなく、ジャズだった。それは今でも変わらない。生きる肥やしなのだ。

このNovember Cotton Flowerは、マリオン・ブラウンにとって変局点になったアルバムだと思っている。だからこそ、安月給のときでも購入したLPの1つ。プロデューサーは小沢善雄氏。レコーディングやジャケット写真など、日本人が多くかかわっているアルバムである。

1. November Cotton Flower
2. La Placita
3. Fortunato
4. Pleasant Street
5. Sweet Earth Flying

Marion Brown - alto saxophone
Karl Rausch - guitar (tracks 1,5)
Hilton Ruiz - piano
Earl May - bass
Warren Smith - drums, percussion

Recorded on June 21 & 22, 1979 at Sound Ideas Studios, NYC.