Lou Donaldson / Alligator Bogaloo

ブルーノートとは思えない意表を突くジャケット。演奏の中身を含めて、好き嫌いが分かれるアルバムだろう。ライナーノーツには、ルー・ドナルドソンのこんな発言が書かれている。「アリゲイター・ブーガルーのタイトルはレコード会社がつけたんじゃないかな。ブーガルーとは一体なんのか、実のところ私自身もよく知らないんだよ。この曲自体、レコーディングの前から演奏していたしね」。

これを読むと、ブルーノートのかなり戦略的なアルバムであったことがうかがえる。1967年、インパルスなどの他のレーベルの台頭によって、ブルーノートは危機感を持っていたのだろうか。オルガンとギターが入っていること、そしてジャケットからジャズ・ロック的なイメージを抱いてしまうが、ブルースを基本とした演奏である。ブルーノートにとって「アリガタヤー」となったアルバムなのかは知らない。

1. Alligator Bogaloo
2. One Cylinder
3. The Thang
4. Aw Shucks!
5. Rev. Moses
6. I Want A Little Girl

Lou Donaldson - alto saxophone
Melvin Lastie - cornet (tracks 1-5)
Lonnie Smith - organ
George Benson - guitar
Leo Morris - drums

Recorded on April 7, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Lou Donaldson / Sunny Side Up

お見事。このジャケットデザイン。言葉で説明する必要なし。デザインや意匠の評価なんて、一瞬で決まる。合議制で決める話ではない。だから、決める人を決めることが大事。ジャズのアルバムもしかり。「これ、最高!」と感じた評論家がライナーノーツを書けばいい。あとは、読み手の問題である。すでにアルバムは購入しているので、「ここが、凄いぞ!」と書いてもらわないと、後味が悪くなるのだが…。

ところが、そういうライナーノーツは極めて少ない。ミュージシャンの生い立ちなどを書いて、アルバムの経緯、そして曲の紹介。そういう情報は、ネットで調べればある程度分かる。それより、何曲目の何分何秒のこのアルトの入り方、ここを聴けば、このアルバムが他にはない緊張感を醸し出しているのだ、のような解説を読みたい。つまり、気付きの話。それが評論家の使命ではないだろうか。で、聴きどころは、6曲目Goose Grease。アドリブがサックス、トランペットと過ぎて、3分28秒からピアノのホレス・パーランの出番。4分過ぎからの19秒間はリズムを揺さぶるピアノ。このアルバムの醍醐味がここにある。

1. Blues For J.P.
2. The Man I Love
3. Politely
4. It's You Or No One
5. The Truth
6. Goose Grease
7. Softly, As In A Morning Sunrise

Lou Donaldson - alto saxophone
Bill Hardman - trumpet (tracks 1-4,6,7)
Horace Parlan - piano
Laymon Jackson - bass (tracks 1,2,4,5)
Sam Jones - bass (tracks 3,6,7)
Al Harewood - drums

Tracks 1, 2, 4 & 5
Recorded on February 28, 1960. at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Tracks 3, 6 & 7
Recorded on February 5, 1960. at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Lou Donaldson / The Time Is Right

本作の録音データを見ると気になることが一つある。全7曲中の6曲は、1959年10月31日の録音。3曲目のIdahoだけが11月28日録音で、前者とはベースとドラムを入れ替えている。ルー・ドナルドソンのディスコグラフィーによると、この日はIdahoしか録音していないのだ。果たして、1曲のためだけにメンバーを集めたのだろうか。

そして、タイトルThe Time Is Rightの意味とは。「時刻正確」、それとも「時代直角」なのか。録音データ以上に謎である。ジャケットのルーの腕の角度はやや直角。そうか、「リズムをしっかり刻もうぜ」と言っている気がしてきた。だから、コンガが大事なんだと。わかった。「太鼓正打」って感じなんだな。

1. Lou's Blues
2. Be My Love
3. Idaho
4. The Nearness Of You
5. Mack The Knife
6. Crosstown Shuffle
7. Tangerine

Tracks 1, 2 & 4 - 7
Lou Donaldson - alto saxophone
Blue Mitchell - trumpet
Horace Parlan - piano
Laymon Jackson - bass
Dave Bailey - drums
Ray Barretto - congas
Recorded on October 31, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 3
Lou Donaldson - alto saxophone
Blue Mitchell - trumpet
Horace Parlan - piano
Sam Jones - bass
Al Harewood - drums
Ray Barretto - congas
Recorded on November 28, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.