Kenny Clarke / Bohemia After Dark

1955年6月28日録音のケニー・クラーク名義のアルバムであるが、キャノンボール・アダレイとナット・アダレイの兄弟デビューアルバムとしての意義がある。しかも、全7曲中の4曲が、この兄弟による作品。だが、極めつきはベーシストのオスカー・ペティフォード作のタイトル曲。本作でのベースはポール・チェンバースなので、ちょっと混乱してしまうのだが。さらには、6曲目のWe'll Be Together Againだけは、キャノンボール名義のアルバムPresenting Cannonballでのセッション(同年7月14日)から収録している。

アダレイ兄弟の名義にしなかったことは良しとしても、Savoyレーベルの最大の欠点は、ジャケットを訳も無く変えてしまうこと。もう、これは犯罪に近い。ジャケットとしてのパッケージは、商品(演奏の中身)を彩るものだ。例えば、「モンクのアルバム〇〇は、どう思う?」と聞かれた瞬間、そのアルバムのジャケットが頭の中に浮かんで、次に曲目やメンバーが思い起こされてくる。このアルバムの場合は、上半身裸の女性が頭に浮かび、乳房が「B」の文字で隠されていて・・・。曲目やメンバーへ辿り着かないのだ。

1. Bohemia After Dark
2. Chasm
3. Willow Weep For Me
4. Hear Me Talkin' To Ya
5. With Apologies To Oscar
6. We'll Be Together Again
7. Late Entry

Jerome Richardson - tenor saxophone, flute (except track 6)
Cannonball Adderley - alto saxophone
Donald Byrd - trumpet
Nat Adderley - cornet
Horace Silver - piano (except track 6)
Hank Jones - piano (track 6)
Paul Chambers - bass
Kenny Clarke - drums

Tracks 1 - 5 & 7
Recorded on June 28, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Track 6
Recorded on July 14, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Kenny Burrell / Bluesin' Around

1961年3, 4, 11月の計4回のセッションで構成。メンバーがセッション毎に異なるが、寄せ集めという感じを受けない。それは、アルバム全体でケニー・バレルのブルージーなギターが鳴り響いているから。バレルのギターには広がりを感じる。しかも、静かな「広がり」で、無理な緊張感をもたらす不協和音はまずない。では、「安定的」かと言うと、そんな甘いジャズでもない。バレルのギターは奥が深いのだ。

しかし、このアルバムがリリースされたのは83年で、20年以上もお蔵入りしていた。ライナーノーツ担当の村井康司氏はその理由に触れておらず、Wikipediaにも書かれていない。3月と4月のセッションだけでは曲数不足。11月の2回のセッションはケニー・バレルより約10年先輩のイリノイ・ジャケーが参加。「オレ参加していないセッションとの抱き合わせなんて、あり得ない!」と、ジャケーが当時は承知しなかった気がする。結局のところ、全9曲中の5曲に参加しているジャケーの骨太のサックスも楽しめるアルバムなのである。

1. Mambo Twist
2. The Switch
3. The Squeeze
4. Bluesin' Around
5. Bye And Bye
6. Moten Swing
7. People Will Say We're In Love
8. One Mint Julep
9. Mood Indigo

Tracks 1 & 2
Illinois Jacquet - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
Major Holley - bass
Osie Johnson - drums
Recorded on November 21, 1961 in NYC.

Tracks 3, 5 & 9
Illinois Jacquet - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
Major Holley - bass
Jimmy Crawford - drums
Recorded on November 29, 1961 in NYC.

Track 4
Eddie Bert - trombone
Kenny Burrell - guitar
Hank Jones - piano
George Duvivier - bass
Louis Hayes - drums
Recorded on March 6, 1961 in NYC.

Tracks 6, 7 & 8
Leo Wright - alto saxophone
Kenny Burrell - guitar
Jack McDuff - organ
Joe Dukes - drums
Recorded on April 30, 1961 in NYC.

Kenny Burrell / At The Five Spot Cafe

ケニー・バレルのイントロダクションに続くBirk's Worksで、ご機嫌なスタートを切る。そして、ボビー・ティモンズのピアノがぴったりはまる。ところが、次のHallelujahで、アート・ブレイキーがタイコを叩き過ぎ。ここで、バレルのギターをたっぷり聴かせるアルバムでないことが分かる。メンバーを改めて眺めれば、うなずけるのだ。

アート・ブレイキーのディスコグラフィーを調べると、下記のセットとなっている。ティナ・ブルックスは2セットをやって帰宅(?)、ボビー・ティモンズは中抜け。代りにローランド・ハナが入り、ティモンズが戻ってきたらまた交代。観客は十分に楽しめたのだろうが、アルバムとしては落ち着きがない。ジャケットには、KENNY BURRELL with ART BLAKEYとあるので、「しっとりとは聴かせないよ」と暗に記しているのだ。

・ 2nd set - Tina Brooks, Bobby Timmons, Kenny Burrell, Ben Tucker, Art Blakey / Birks' Works, Lady Be Good
・3rd & 4th set - Roland Hanna, Kenny Burrell, Ben Tucker, Art Blakey / Hallelujah, 36-26-36
・5th set - Bobby Timmons, Kenny Burrell, Ben Tucker, Art Blakey / Lover Man

1. Introduction By Kenny Burrell
2. Birk's Works
3. Hallelujah
4. Lady Be Good
5. Lover Man
6. 36-23-36

Kenny Burrell - guitar
Tina Brooks - tenor saxophone (tracks 2,4)
Bobby Timmons - piano (tracks 2,4,5)
Roland Hanna - piano (tracks 3,6)
Ben Tucker - bass
Art Blakey - drums

Recorded on August 25, 1959 at The Five Spot Cafe, NYC.