Kenny Dorham / 'Round About Midnight At The Cafe Bohemia

1956年5月31日のカフェ・ボヘミアでのライブ演奏は、ケニー・ドーハムのディスコグラフィーを見ると4つのセットに分かれている。最初のセットで7曲、2番目も7曲、3番目が6曲で、最後は3曲のみ。全23曲の中から選ばれた6曲のセットは、収録曲順に3rd, 3rd, 3rd, 2nd, 1st, 2ndとなっていて、4thからは選択されず。LPの時代。収録時間は限られ、しかもA面とB面で分けなければならない。曲の選択と順番に苦労したのだろう。

さて、大きな疑問が残る。第1セットでは、ゲストであるケニー・バレルが参加していなかったことだ。集合時間を間違えた。弦を買いに行って間に合わなかった。ギャラが折り合わず途中から参加。リーダーが同じKennyなので、何となく気分が乗らなかった。もっと現実的なことが、バレルのディスコグラフィーにあった。アルバムIntroducing Kenny Burrellの録音は、このライブの前々日と前日。自分名義の2日連続のセッションを終え疲れ切っていたのだ。つまり、単なる遅刻。その時のドラマーがKenny Clarkeだったので、Kennyにはもううんざりしたのかも知れない。

1. Monaco
2. 'Round Midnight
3. Mexico City
4. A Night In Tunisia
5. Autumn In New York
6. Hill's Edge

Kenny Dorham - trumpet
J. R. Monterose - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar (except track 5)
Bobby Timmons - piano
Sam Jones - bass
Arthur Edgehill - drums

Recorded on May 31, 1956 at The Cafe Bohemia, Greenwich Village, NYC.

Kenny Dorham / The Jazz Prophets Vol.1

The Jazz Messengers(ジャズの使者)に対抗して作られたジャズ・コンボThe Jazz Prophets(ジャズの預言者)。一般論であるが、この手の後発隊は一発花火で終わることが多い。先発隊は何らかの荒波を乗り越えているから、そう簡単に沈没することなくシブトイのだ。メッセンジャーズに参加してきたケニー・ドーハム自身は、そんなことはよく分かっていたはず。それでも「預言者」になりたかったのだろう。

一発目の花火としては、決して悪くない演奏。だが、ジャケットにVol.1としっかり記載してしまった。これが失敗。Vol.2が必ずリリースされるという確約などないのだ。特にジャズの世界は。ジャケットのトランペットは水平よりやや上向きながら、ドーハムの閉じた目線は下を向いている。「Vol.2は難しいかも知れないなぁ」という雰囲気。その預言は的中してしまったのだ。

1. The Prophet
2. Blues Elegante'
3. DX
4. Don't Explain
5. Tahitian Suite

Kenny Dorham - trumpet
J.R. Monterose - tenor saxophone
Dick Katz - piano
Sam Jones - bass
Arthur Edgehill - drums

Recorded on April 4, 1956 in NYC.

Kenny Dorham / Afro-Cuban

不思議なアルバム。1955年1月と3月のセッションをまとめているが、タイトルのアフロキューバンと言えるのは3月のセッション。つまり、プロデューサーのアルフレッド・ライオンは、1月のセッションでは個性的なアルバムにならないと判断し、方針を変更したのだと思った。だが、よく調べてみると以下のことが分かった。

55年10月末、最初にリリースされた10インチLPは3月のセッションのみ。そして、57年5月末の12インチLPで1月のセッションを加えている。方針変更ではなく、素材が足りなかったのだ。3月に4曲だけの録音で終わらせてしまったプロデューサーの失敗作なのである。

1. Afrodisia
2. Lotus Flower
3. Minor's Holiday
4. Basheer's Dream
5. K.D.'s Motion
6. The Villa
7. Venita's Dance

Tracks 1 - 4
Kenny Dorham - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
Cecil Payne - baritone saxophone
J.J. Johnson - trombone
Horace Silver - piano
Oscar Pettiford - bass
Art Blakey - drums
Carlos "Patato" Valdes - conga
Richie Goldberg - cowbell
Recorded on March 29, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Tracks 5 - 7
Kenny Dorham - trumpet
Hank Mobley - tenor saxophone
Cecil Payne - baritone saxophone
Horace Silver - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums
Recorded on January 30, 1955 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.