J.J. Johnson / Dial J.J.5

ジャズの場合、ジャケットで買うアルバと言えば、女性ボーカルというのが定番。このアルバムのジャケットは、構図はシンプルながらも非常にユニーク。ダイアルの真ん中にJ.J.ジョンソンの写真。左には、J J JOHNSON quintet ..... Dial JJ5の文字が上下にずらっと並ぶ。この文字列が65行。「このアルバムを聴いて気に入ったら、友達に電話して知らせてやれよ」という意味だろうか。今の時代なら、メールで知らせるか、SNSへの投稿。しかし、なぜに3行目だけがオレンジ色なのか。

2曲目はパーカーの作品Barbados(バルバドス)。学生の頃、ジャズ研でよく練習した曲。所有するアルバムの中で、パーカー自身以外でこの曲を取り上げているのは、本作とトミー・フラナガンのアルバムMontreux '77だけだった。本作のピアノはフラナガン。ということは、彼の選曲だったのかも知れない。

さて、ジャケットの文字列にあるように、クインテットで5人による演奏なのだが、ピアノトリオが1曲、カルテットが2曲である。計3曲はクインテットでないので、3行目がオレンジの注意信号? というより、フラナガンのピアノトリオにフロント2管が参加したと考える方が自然。電話の掛け間違いに注意なのだ。

1. Tea Pot
2. Barbados
3. In A Little Provincial Town
4. Cette chose
5. Blue Haze
6. Love Is Here To Stay
7. So Sorry Please
8. It Could Happen To You
9. Bird Song
10. Old Devil Moon

J.J. Johnson - trombone (except tracks 7,8)
Bobby Jasper - tenor saxophone, flute (except tracks 6,7)
Tommy Flanagan - piano
Wilber Little - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on January 29 (tracks 5, 6, 8 & 9) & 31 (tracks 2-4) and May 14 (tracks 1, 7 & 10), 1957 at Columbia 30th Street Studios, NYC.

Jack DeJohnette / Made In Chicago

このアルバムは、非営利団体AACM - Association for the Advancement of Creative Musicians設立50周年を記念したライブ演奏。2013年8月29日、第35回Chicago Jazz Festivalの中での企画セッション。形式上はジャック・ディジョネット名義だが、タイトル通りでシカゴ出身5人全員にフォーカスしたアルバム。収録曲は、この日のために用意したであろう参加メンバーによる作品で、安易にスタンダード曲などを用いた同窓会的なライブではない。非常に密度の濃い演奏を繰り広げ、緊張感のある重量級ジャズ。

輸入盤CDのブックレットには、リハーサル風景を捉えたと思われる数枚の写真が掲載されている。その最後の1枚は集合写真。写真左から、ラリー・グレイ(不明)、ジャック・ディジョネット(71歳)、ムハール・リチャード・エイブラムス(82歳)、ロスコー・ミッチェル(73歳)、ヘンリー・スレッギル(69歳)。括弧内はライブ当時の年齢。ベースのグレイの年齢だけが分からなかったが、百戦錬磨のミュージシャン達であることは間違いなし。Made In Chicagoであり、Made In Koki(古稀)なのだ。

1. Chant
2. Jack 5
3. This
4. Museum Of Time
5. Leave Don't Go Away
6. Jack DeJohnette Speaks To Audience
7. Ten Minutes

Henry Threadgill - alto saxophone, bass flute
Roscoe Mitchell - alto saxophone, soprano saxophones, bass recorder, wooden flute
Muhal Richard Abrams - piano
Larry Gray - double bass, cello
Jack DeJohnette - drums

Recorded on August 29, 2013 at The Pritzker Pavilion Millennium Park Chicago, The 35th Annual Chicago Jazz Festival.

Jutta Hipp / Jutta Hipp With Zoot Sims

Jutta Hipp(ユタ・ヒップ)のWikipediaには、次のように書かれている。「ズート・シムズとの共作〈ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ〉の録音後、彼女は音楽業界から突如引退する。小規模のクラブでの演奏を好んでいた事、極度のあがり症であった事、音楽で生計を立てる事にあまり関心が無く、自分が感銘を受けない音楽を演奏・録音する事に気乗りがしなかった事などが原因とされている」。

つまり、本作の録音後に引退。ジャズ評論家Leonard Feather(レナード・フェザー)の力添えで、ヒップは1955年11月18日にドイツからアメリカへ渡ったのだが、最初から音楽は趣味の一部でしかなかったのだろう。結局のところ、1年にも満たない音楽生活であった訳である。本作はヒップ引退後の57年にリリース。Reid Miles(リード・マイルス)によるジャケットは、物事が崩れ去っていくことを示しているようにも思えてしまう。シムズとしても、ヒップとの一度限りだけの共演を惜しんだに違いない。

1. Just Blues
2. Violets For Your Furs
3. Down Home
4. Almost Like Being In Love
5. Wee-Dot
6. Too Close For Comfort

Zoot Sims - tenor saxophone
Jerry Lloyd - trumpet
Jutta Hipp - piano
Ahmed Abdul-Malik - bass
Ed Thigpen - drums

Recorded on July 28, 1956 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.