4枚組全22曲。収録時間266分。1961年11月の4日間に渡るライブ演奏の全貌を描いている。コルトレーン、マッコイ・タイナー、レジー・ワークマン、エルビン・ジョーンズを中心としたセッション。同梱されている英文小冊子には、各曲に対して演奏日と楽器編成のリストが載っている。このリストから興味深いことが分かって来た。ドルフィーはGreensleevesとSoftly, As In A Morning Sunriseの2曲には参加していない。コルトレーンは、自分のソプラノサックスだけでこれらの曲を表現できると考えたのだろう。
そして、IndiaとMiles' Modeの2曲は、ワークマンとジミー・ギャリソンの2本のベースで厚みを出し、Indiaには2人のゲスト奏者Garvin BushellとAhmed Abdul-Malikが参加。一方、スピード感を必要とするImpressionsはワークマンからギャリソンに交代。さらに、ロイ・ヘインズがエルビンに代わり、2日目最初の曲Chasin' Another Traneにだけ参加しているが、これはエルビンに何かの事情があったのだろう。メンバーが微妙に入れ替わり実験的な要素があるが、歴史的なライブ演奏であることは間違いない。だが、客席から拍手喝采が湧いてこないのは、61年末の時点でコルトレーンのジャズが時代の一歩先を行っていたからだ。
Disc 1 1. India 2. Chasin' The Trane 3. Impressions 4. Spiritual 5. Miles' Mode 6. Naima
Disc 2 1. Brasilia 2. Chasin' Another Trane 3. India 4. Spiritual 5. Softly, As In A Morning Sunrise
1961年11月のビレッジ・バンガードでのライブ録音(1962年リリース)。この時の録音は、本アルバムとThe Other Village Vanguard Tapes(2枚組LP, 76年)、そしてTrane's Mode(2枚組LP, 79年)で聴くことができた。しかし、11月の4日間に渡るライブ演奏の全貌を描いた完全盤The Complete Village Vanguard Recordings(4枚組全22曲, 収録時間266分)が97年9月にリリースされ、分散されていた3枚のアルバムの価値は消え失せてしまった。