Jim Hall / Live!

所有する輸入盤CDは、LPのライナーノーツをそのまま採用。そこには、録音テープをミキシングした日付やスタジオが詳しく載っているが、肝心のライブは1976年6月までの記載しかない。英文ライナーノーツをざっと読んだところ、"These selections were compiled from a week of taping at Bourbon Street"という一文を発見。つまり、一週間分のテープから編集されたアルバムということなので、このトリオによるトロントのジャズクラブでのライブ日程が知りたくなった。Bourbon StreetのWikipediaには、「1971年から86 年まで営業。トロントの傑出したジャズクラブの1つで、多くの国際的に有名なミュージシャンが出演していた」とあったが、過去のライブスケジュール掲載は無かった。

全5曲、完璧な演奏。タイトルのビックリマークは誇張でない。ただし、ライブ演奏としては、盛り上がりにイマイチ欠ける。このアルバムでは、臨場感を伝えるより、演奏内容を重視した結果なのだろう。ライナーノーツには、メンバーによる長文のメッセージもあり、ジム・ホールはこう締め括っている。"They are two marvelously gifted Canadian musicians"(彼ら2人は、驚くほど才能のあるカナダのミュージシャンだ)。このライブと同年の10月、中野サンプラザで同じメンバーによるアルバムLive In Tokyoを録音。こちらは、10月28日と特定されていて、観客の反応も良くライブの雰囲気が伝わってくる。

1. Angel Eyes
2. 'Round Midnight
3. Scrapple From The Apple
4. The Way You Look Tonight
5. I Hear A Rhapsody

Jim Hall - guitar
Don Thompson - bass
Terry Clarke - drums

Recorded in June, 1975 at Bourbon Street Jazz Club, Toronto, Canada.

Jim Hall / Live In Tokyo -Complete Version-

タイトルに「完全版」と付くが、かなり怪しい。オリジナルLPに収録されなかった「アランフェス協奏曲」、LP再リリース時にカットされた「シークレット・ラブ」が加わっている。つまり、サンプラザでのライブを完全に収録したわけではない。全6曲で52分余り。サンプラザの観客が、これで満足するはずはない。

だが、このCDには大満足である。アルバム解説には、こう書いてある。「ここでは全盛期の脂の乗ったジム・ホールが聴ける名演揃い。まさに'70年代のジム・ホールにハズレなし。チャーリー・パーカーのBillie's BounceやロリンズのSt. Thomas、ジム・ホール作Twister等収録。録音も素晴らしい」。特に反論はないが、ホールに「全盛期」ってあったのだろうか。常に安定したプレイを続け、ジャズギタリストの第一線をキープしていたと思う。

1. Billie's Bounce
2. Twister
3. Secret Love
4. Concierto De Aranjuez
5. Chelsea Bridge
6. St. Thomas

Jim Hall- guitar
Don Thompson - bass
Terry Clarke - drums

Recorded on October 28, 1976 at Nakano Sun-Plaza Hall, Tokyo.

Jim Hall / Valse Hot: Sweet Basil 1978

ジム・ホールのベースとのデュオというと、1972年4月録音のロン・カーターとのライブアルバムAlone Togetherがすぐに思い浮かぶ。それから6年後の78年1月、相手をレッド・ミッチェルに替えて、再びライブ演奏に取り組んだ。今度は、タイトルにロリンズ作Valse Hotを入れている。そして、Alone Togetherを再演。そうなると、2つのAlone Togetherを聴き比べたくなる。

どちらも、ベースが主旋律を担っている。カーターは快走、ミッチェルは重厚といった感じ。それは、この曲だけに限らず、アルバム全体に言えること。ミッチェルは、アルバムAlone Togetherをすでに聴いていただろう。その中で、この曲だけは必然的にカーターと比較されてしまうので、やり難かったと想像してしまうのだ。いや、カーターとは違う味を出したいとミッチェルの選曲だったのかもしれない。

ところで、このアルバムにはハイレゾ音源を収録したディスクがオマケ?で付いてくる。ディスクのラベルには、24Bit/96k Filesと書かれているが、実際のWAVファイルのプロパティを見ると9216kbpsになっている。つまり、192kHz×24bit×2ch=9216kbpsなので、96kではなく192kHzが正解。この場合、1分当たり69.12MBのファイル容量。全6曲で3.396GBなので、49分余りの演奏となる。ジャケット裏に記載のトータル50分と合致する。

1. Now's The Time
2. Valse Hot
3. Alone Together
4. There Is No Greater Love
5. God Bless The Child
6. Stella By Starlight

Disc 1 - Audio 16bit/44.1kHz
Disc 2 - High Resolution 24bit/192kHz

Jim Hall - guitar
Red Mitchell - bass

Recorded on January 18 & 19, 1978 at Sweet Basil, NYC.