Jack DeJohnette / Made In Chicago

このアルバムは、非営利団体AACM - Association for the Advancement of Creative Musicians設立50周年を記念したライブ演奏。2013年8月29日、第35回Chicago Jazz Festivalの中での企画セッション。形式上はジャック・ディジョネット名義だが、タイトル通りでシカゴ出身5人全員にフォーカスしたアルバム。収録曲は、この日のために用意したであろう参加メンバーによる作品で、安易にスタンダード曲などを用いた同窓会的なライブではない。非常に密度の濃い演奏を繰り広げ、緊張感のある重量級ジャズ。

輸入盤CDのブックレットには、リハーサル風景を捉えたと思われる数枚の写真が掲載されている。その最後の1枚は集合写真。写真左から、ラリー・グレイ(不明)、ジャック・ディジョネット(71歳)、ムハール・リチャード・エイブラムス(82歳)、ロスコー・ミッチェル(73歳)、ヘンリー・スレッギル(69歳)。括弧内はライブ当時の年齢。ベースのグレイの年齢だけが分からなかったが、百戦錬磨のミュージシャン達であることは間違いなし。Made In Chicagoであり、Made In Koki(古稀)なのだ。

1. Chant
2. Jack 5
3. This
4. Museum Of Time
5. Leave Don't Go Away
6. Jack DeJohnette Speaks To Audience
7. Ten Minutes

Henry Threadgill - alto saxophone, bass flute
Roscoe Mitchell - alto saxophone, soprano saxophones, bass recorder, wooden flute
Muhal Richard Abrams - piano
Larry Gray - double bass, cello
Jack DeJohnette - drums

Recorded on August 29, 2013 at The Pritzker Pavilion Millennium Park Chicago, The 35th Annual Chicago Jazz Festival.

Jack DeJohnette / Album Album

モンク作Monk's Moodを除いた残りの5曲は、ジャック・ディジョネットの作品。このことから、ディジョネットが単なるドラマーではないことがうかがい知れる。フロント3管にベースとドラムという構成。だが、ディジョネットはキーボードも担当。つまり、多重録音ということ。その必要があったのかは疑問が残る。ディジョネットが使いたいプレイヤーがいなかったのか、それとも初めから自分で弾くことを、音を被せることを狙っていたのか。

いずれにしても、スタジオ録音で、リハーサルは何度も重ねたのではないかと思う。だが、ディジョネットが示したのは、それぞれの曲のコンセプトで、その中でメンバーが曲作りをしてきたのだろう。極めて完成度が高いアルバムと言える。

1. Ahmad The Terrible
2. Monk's Mood
3. Festival
4. New Orleans Strut
5. Third World Anthem
6. Zoot Suite

John Purcell - alto saxophone, soprano saxophone
David Murray - tenor saxophone
Howard Johnson - baritone saxophone, tuba
Rufus Reid - bass
Jack DeJohnette - drums, keyboards

Recorded on June 6 & 7, 1984 at The Power Station, NYC.

Jack DeJohnette / Inflation Blues

ジャック・ディジョネットは、このアルバムを録音した翌年、キース・ジャレットとスタンダーズ・トリオを結成。新たな可能性に挑戦した。今だからこそ言えるのだが、ディジョネットは、そしてこのスペシャル・エディションは、到達点ではなく変曲点であったことが分かる。スペシャル・エディションは、1978年にスタートし84年で完結している。ジャズを取り巻く環境が変わったというのも大きな要因であろう。だがしかし、ディジョネット自身がやりたかった音楽がここにあったのかは疑わしい。

このアルバムで、ドラム以外の楽器も演奏したディジョネット。ジャズを創り上げるのではなく、アルバムを創り上げるというジレンマがあったのか。だからと言って、このアルバムの価値が下がるものではない。80年代初め、出口が見えなかったジャズ。一つの風穴を開けたディジョネットであった。CD化をずっと待ち望んでいたアルバムの一つ。そろそろ、リリースされているのではないかと思い調べたら、ユニットとしてのスペシャル・エディション4枚組CDボックスになっていた。本作以外の3枚はCDを所有しているので、何とも残念。ECMらしくない再発売の仕方。

1. Starburst
2. Ebony
3. The Islands
4. Inflation Blues
5. Slowdown

Chico Freeman - tenor saxophone, soprano saxophone, bass clarinet
John Purcell - baritone saxophone, alto saxophone, flute, clarinet
Baikida Carroll - trumpet (tracks 1,3,5)
Rufus Reid - bass
Jack DeJohnette - drums, piano, clavinet, vocal

Recorded in September 1982 at Power Station, NYC.