ジャズ評論家レナード・フェザーは、ハンク・モブレーを「テナーサックスのミドル級チャンピオン」と呼んだそうだ。確かに「ミドル級」という言葉が彼には当てはまる。重くもなく軽くもない。スピード感で勝負した訳でもない。彼なりの音量とスピードでジャズを料理している感じ。1930年7月7日生まれのモブレーは、このとき27歳直前。決して自分をさらけ出すことなく、コンボとしての統一感を大事にしていたのだろう。
ジャケットが芸術品。右と下に白の空間。そこにメンバーの名前が斜めに走る。HANK MOBLEYの朱色の文字が浮き出す。そして、下から捉えたモノクロのモブレーの写真。ジャズがジャズらしかった時代のジャケットである。あっという間に全5曲が終わってしまうのだが、この余韻が溜まらない。唯一の欠点が、アルバムタイトルが特になく、彼の名前になっていること。デビューアルバムなら、それも分かるのだが。4曲目の彼自身の作品Double Exposure(多重露光)をタイトルにすべきだった。
1. Mighty Moe And Joe
2. Falling In Love with Love
3. Bags' Groove
4. Double Exposure
5. News
Hank Mobley - tenor saxophone
Curtis Porter - alto saxophone, tenor saxophone
Bill Hardman - trumpet
Sonny Clark - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums
Recorded on June 23, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.