Hugh Lawson / Casablanca

所有するアルバムの中で、自分にとっての最大級の「隠れ名盤」。かつて、ヒュー・ロウソンというピアニストはほとんど知らなかったし、本作については何の前知識もなく購入した。手元に届き、上品な紙ジャケット、スピーカーから流れてくるヒューの心に沁みるピアノ。ベースとドラムが見事にそのピアノを支えている。さらに、四谷『いーぐる』店長の後藤雅洋氏によるライナーノーツ。ようやく彼の感性に近づいた気がした。何度聴いても飽きがこない。長年ジャズを聴いてきて良かったと思えるアルバム。

CD帯から。『ブルーノートの姉妹レーベル「サムシンエルス」が初期に残した悲運のピアノトリオ。海外発売されることもなく、長らくファンに探し求められていたあの希少盤を、マスターテープを新たにして紙ジャケ高音質CDで限定生産。「バラッズ・フォー・ザ・ビースト」の哀愁と「時の過ぎるまま」のロマンティシズムで知られる。未発表曲「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」を追加収録』。

1. Ballads For The Beast
2. My Sherry Amour
3. As Time Goes By
4. On A Slow Boat To China
5. Basie In Mind
6. The Man Who Never Sleeps
7. When You Wish Upon A Star
8. New Boots For Brooks
9. Blondie's Waltz
10. Days Of Wine And Roses
11. My Funny Valentine

Hugh Lawson - piano
Cecil McBee - bass
Marvin "Smitty" Smith - drums

Recorded on August 3 & 4, 1989 at A & R Recording, NYC.

Hugh Lawson / Colour

ヒュー・ロウソンのリーダーアルバムは3枚のみ。ほぼ6年の間隔でPrime Time(1977年10月)、Colour(83年1月)、Casablanca(89年8月)を録音。Colourの安価な中古CDを探していて、最近ようやくを手に入れることができた。3枚ともピアノトリオだが、ベーシストとドラマーは全て異なる。

このColourの1曲目でPictures at an Exhibition(展覧会の絵)に挑戦。ジャズでこの曲を取り上げるのは極めて珍しい。6年振りのリーダーアルバムということで、味付けにこだわったのかも知れない。残念ながら、素材を活かし切れているとは思えないのだ。決して気負いはないものの、ロウソン自身の「色」を出そうと、他の2枚に比べて少し空回りした感じがする。

1. Pictures At An Exhibition
2. The Tinkler
3. If
4. Georgie Porgie
5. The Beast From Bali-Bali
6. 23rd Street Blues
7. Creepy Chicken

Hugh Lawson - piano
Calvin Hill - bass
Louis Hayes - drums

Recorded on January 15, 1983 at Vanguard Studios, New York.

Hugh Lawson / Prime Time

ライナーノーツでは、杉田宏樹氏がヒュー・ロウソンを「隠れた名手」と評している(2015年6月付け)。全くその通りだと思う。1957年から活動を始め、最初のリーダーアルバムが、1977年に録音されたこのPrime Time。そして、1983年にColour、1989年にCasablancaを録音して幕を閉じている。つまり、生涯でのリーダーアルバムは3枚のみ。

自分自身も、1988年録音のジョージ・アダムスのアルバムNightingaleを購入して、初めてロウソンを知った。日本で紹介されてこなかった「閉ざされた名手」でもある。初めてのリーダーアルバムということで、ロウソンは一曲目から気合が入っていて、80年代を前にした力強いピアノトリオである。だが、ジャケットにもう一工夫欲しかった。

1. The Highest Mountain
2. Blue Bone
3. The Need To Smile
4. The Duke Ellington Sound Of Love
5. Rip-Off
6. I Fall In Love Too Easily
7. I'll Keep Loving You
8. Make Me Rainbows
9. Falling For You
10. The Highest Mountain [alternate take]
11. The Need To Smile [alternate take]

Hugh Lawson - piano
Bob Cranshaw - bass
Ben Riley - drums

Recorded on October 20, 1977 in NYC.