Horace Parlan / On The Spur Of The Moment

藤本史昭氏のライナーノーツでは、こう記している(2009年7月11日付け)。「中山康樹氏は著書〈超ブルーノート入門 完結編〉の中で、ジャケットでパーランとトミーの文字だけが白抜きになっていることから、これが事実上は2人の双頭クインテット作だったと推察している」。なるほど。ジャケット裏を見ると、4人の写真下のメンバーは、Tommy Turrentineから始まっている。だけど、トミー・タレンタインは、スタンレー・タレンタインの6歳上の兄だからなぁ。どこの国でも、どんな時代でも年上には敬意を払うものだ。

ちなみに、以下はメンバーの誕生日。30歳前後のエネルギー溢れる演奏である。Horace Parlan(1931年1月19日)、Tommy Turrentine(28年4月22日)、Stanley Turrentine(34年4月5日)、George Tucker(27年12月10日)、Al Harewood(23年6月3日)。パーランのにんまりしたジャケットの笑顔が、録音の成功を示している。

1. On The Spur Of The Moment
2. Skoo Chee
3. And That I Am So In Love
4. Al's Tune
5. Ray C.
6. Pyramid

Stanley Turrentine - tenor saxophone
Tommy Turrentine - trumpet
Horace Parlan - piano
George Tucker - bass
Al Harewood - drums

Recorded on March 18, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Horace Parlan / Speakin' My Piece

国内盤CDでの小川隆夫氏による解説では、ナット・ヘントフのオリジナル・ライナーノーツを引用している。「パーランは決してひとりよがりのピアニストではない。アーマッド・ジャマル、ビル・エバンス、ウィントン・ケリー、レイ・ブライアント、トミー・フラナガンなど、同時代のさまざまなミュージシャンをはじめ、バド・パウエルやジョン・ルイスにも興味を持ってきた。非常に情緒的で、激しくスイングするピアニストである一方、不要な音を極力排し、間を有効に使うことにも気を配っている」。

パーラン特有のブルージーなピアノタッチに耳を傾けてしまうが、無駄な音がないという点が違った魅力なのだろう。本作では、フロントのタレンタイン兄弟が、そんなパーランとの駆け引きを楽しんでいる感じだ。ジャケットも無駄がなく、すっきりとしている。イメージは躍動する黒鍵、その中にいるパーランなのか。

1. Wadin'
2. Up In Cynthia's Room
3. Borderline
4. Rastus
5. Oh So Blue
6. Speakin' My Piece

Stanley Turrentine - tenor saxophone
Tommy Turrentine - trumpet
Horace Parlan - piano
George Tucker - bass
Al Harewood - drums

Recorded on July 14, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Horace Parlan / Us Three

ホレス・パーラン作、1曲目のタイトル曲Us Threeが、このアルバムの最大の聴き所。そして、最大の疑問点。緊迫した雰囲気で始まり、ぐいぐいと聴き手を引っ張って行く。パーランの世界に引きずり込まれ、いい感じで酔いが回って来た4分過ぎ、あっけなく終わってしまう。ベースソロ、ドラムソロ、4バースなどをぶち込んで、ピアノトリオ自体が酔いしれ、聴き手をとことん酔わすべきだった。

なんとなく欲求不満が残る中、6曲目にWalkin'が登場。この曲はマイルス作ではないものの、マイルスの十八番。本アルバムが録音される3年前の1957年6月にアルバムWalkin'がリリースされている。いまでこそ、Walkin'と言えばマイルスを連想してしまうが、50年代末から60年代に入った頃は、そこまで定着はしていなかったのだろう。レイ・ブライアントもピアノトリオのアルバムRay Bryant Playsに収録している。こちらは、59年10月から11月に録音。

1. Us Three
2. I Want To Be Loved
3. Come Rain Or Come Shine
4. Wadin'
5. The Lady Is A Tramp
6. Walkin'
7. Return Engagement

Horace Parlan - piano
George Tucker - bass
Al Harewood - drums

Recorded on April 20, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.