Herbie Hancock / Herbie Hancock Quartet

Live Under The Sky 1981の翌日7月27日、ハンコックはアルバムHerbie Hancock Trioを収録。さらに、28日に本アルバムを収録している。肝心のLive Under The Skyのライブは、このアルバムのメンバーとサンタナの共演。しかしながら、正式なアルバムではなくCD-Rで海賊盤のようにして販売されている。YouTubeにもアップされていたようだが、著作権侵害により今は削除。

「V.S.O.P. - 2 + 1」。-2はウェイン・ショーターとフレディ・ハバード。+1はウィントン・マルサリス。V.S.O.P.と言えばハンコック作のThe Eye Of The Hurricaneをすぐに思い浮かべる。そして、ショーターとハバードの鬼気迫るようなアドリブ。それに比べて、このアルバムでのマルサリスのトランペットは、スタジオ録音でもあり、フロント1管ということもあって、斬新さには欠ける。それは、他のメンバーも同じで、過密スケジュールの3連荘となれば、斬新なアイデアが出てくるはずはない。これまで所有していたのは、試聴用LPの中古。これもある種の海賊盤だった訳である。

1. Well, You Needn't
2. 'Round Midnight
3. Clear Ways
4. A Quick Sketch
5. The Eye Of The Hurricane
6. Parade
7. The Sorcerer
8. Pee Wee
9. I Fall In Love Too Easily

Wynton Marsalis - trumpet
Herbie Hancock - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on July 28,1982 at Sony CBS Studios, Shinanomachi, Tokyo.

Herbie Hancock / The Piano

ハンコックのピアノソロを想像するのは難しい。モンクやキースには、他を寄せ付けない「独自の味」がある。ところが、ハンコックやコリア、そしてマッコイなどはグループ・パフォーマンスでの「塩コショウの味」なのである。つまり、鍵盤での一瞬の表現で勝負できるプレイヤーではないということ。別にそれはいい悪いではない。ハンコック自身は、そんなことは十分に承知していて、このアルバムにはスタンダード曲と自作曲を配置した。つまり、勝負は後半にあったのだ。

だが、それも失敗。ソロで自分を表現するという意欲が全く感じられない。ハンコックが東京信濃町のソニー・スタジオで、一人ピアノに向かっている姿は不自由な感じ。それを実現できたのは、当時のジャパン・マネーだったのだろう。ましてや、Wikipediaによると、別テイクを加えたCDが2004年にリリースされている。ダイレクト・カッティングのアルバムだったのに、別テイクがあることで、ハンコックが片手間で作ったアルバムだったことを露呈してしまったのだ。

1. My Funny Valentine
2. On Green Dolphin Street
3. Some Day My Prince Will Come
4. Harvest Time
5. Sonrisa
6. Manhattan Island
7. Blue Otani

Herbie Hancock - acoustic piano

Recorded on October 25 & 26, 1978 at CBS Studios, Tokyo.

Herbie Hancock / Directstep

CD帯から。「今では伝説となった1978年の来日ツアー中、急遽実現したスタジオ・レコーディング。名盤ヘッド・ハンターズにも参加していたベニー・モウピンやポール・ジャクソン、そして初代ウェザー・リポートのドラマーであったアルフォンス・ムザーン他と共に、究極のジャズ・ファンクというべき熱演を繰り広げる。名曲バタフライ、アイ・ソウト・イット・ワズ・ユーの再演も話題」。

「究極のジャズ・ファンク」を自分の中ではイメージできないのだが、ハンコックは、V.S.O.P.で4ビート復活を示しながら、極上のフュージョンにも手を染めていたことは事実。本作の特徴は、ダイレクト・カッティング方式によるレコーディング。一発勝負という意味ではライブと同じ。根本的に違うのは、LPの片面に収まるように演奏を終えなければならないこと。テープに録って、後ほど編集という訳にはいかない。CD帯に「急遽実現」とあるように、ハンコックはこの録音方式を日本で試してみたかったのだろう。なので、タイトルをダイレクトステップとしたのだ。

1. Butterfly
2. Shiftless Shuffle
3. I Thought It Was You

Herbie Hancock - Fender Rhodes, clavinet, Oberheim OB-X, Prophet 5, Yamaha CS-80 and Minimoog synthesizers, vocals, Sennheiser Vocoder
Webster Lewis - Hammond B-3 organ, Prophet 5, Yamaha CS-40, ARP String Ensemble and Minimoog synthesizers, Fender Rhodes, backing vocals
Bennie Maupin - soprano saxophone, tenor saxophone, lyricon
Ray Obiedo - electric guitar
Paul Jackson - electric bass
Alphonse Mouzon - drums
Bill Summers - percussion

Recorded on October 17 & 18, 1978 at SONY Shinao-Matchi Studios, Tokyo.