Hank Mobley / Soul Station

メンバーを眺めるだけでドキドキする。ウィントン・ケリー、ポール・チェンバース、アート・ブレイキー。このリズム陣に対して、ハンク・モブレーは1曲目のRememberを除く自作5曲を持ち込んでセッションに臨んだ。結果は上出来。実に楽しい。だけど、最高の満足感が得られない。その理由は、スタジオ録音だったこと。このメンバーなら、一発勝負でのライブを聴きたかった。「オー・イェーイ」と声を掛けたくなる個所が多くあるのだ。

そこで、所有するモブレーがリーダーの7枚のアルバムを調べたら、すべてスタジオ録音。これは不思議。さらに、モブレーのディスコグラフィーによると、自身がリーダーのライブアルバムは2枚だけ。どちらも、1968年3月にヨーロッパで録音。プロデューサーであるアルフレッド・ライオンは、モブレーに対して「リーダーとして観客の前に立つと、自分を出し切れない弱い性格」という評価だったのかも知れない。

1. Remember
2. This I Dig Of You
3. Dig Dis
4. Split Feelin's
5. Soul Station
6. If I Should Lose You

Hank Mobley - tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Art Blakey - drums

Recorded on February 7, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Hank Mobley / Hank Mobley

ジャズ評論家レナード・フェザーは、ハンク・モブレーを「テナーサックスのミドル級チャンピオン」と呼んだそうだ。確かに「ミドル級」という言葉が彼には当てはまる。重くもなく軽くもない。スピード感で勝負した訳でもない。彼なりの音量とスピードでジャズを料理している感じ。1930年7月7日生まれのモブレーは、このとき27歳直前。決して自分をさらけ出すことなく、コンボとしての統一感を大事にしていたのだろう。

ジャケットが芸術品。右と下に白の空間。そこにメンバーの名前が斜めに走る。HANK MOBLEYの朱色の文字が浮き出す。そして、下から捉えたモノクロのモブレーの写真。ジャズがジャズらしかった時代のジャケットである。あっという間に全5曲が終わってしまうのだが、この余韻が溜まらない。唯一の欠点が、アルバムタイトルが特になく、彼の名前になっていること。デビューアルバムなら、それも分かるのだが。4曲目の彼自身の作品Double Exposure(多重露光)をタイトルにすべきだった。

1. Mighty Moe And Joe
2. Falling In Love with Love
3. Bags' Groove
4. Double Exposure
5. News

Hank Mobley - tenor saxophone
Curtis Porter - alto saxophone, tenor saxophone
Bill Hardman - trumpet
Sonny Clark - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on June 23, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Hank Mobley / Quintet

夢の競演。ベースのダグ・ワトキンスを含めた参加メンバー全員が、本作の録音時点ですでにリーダーアルバムを出している。誰がリーダーになってもおかしくないセッションだが、全曲モブレーのオリジナルなので、しっかりと企画されたアルバムであることがわかる。

モブレーの脂がのってきた時期。残念ながら、後にスタンダードとなった曲はない。タイトルも工夫がない。ジャケットにも本気さを感じない。だけど、アドリブに賭けるジャズ本来のある種の凄みを感じる。セッションやって、懐を暖かくして一杯やりたい。そんな雰囲気。

1. Funk In Deep Freeze
2. Wham And They're Off
3. Fin De L'affaire
4. Startin' From Scratch
5. Stella-Wise
6. Base On Balls
7. Funk In Deep Freeze [alternate take]
8. Wham And They're Off [alternate take]

Hank Mobley - tenor saxophone
Art Farmer - trumpet
Horace Silver - piano
Doug Watkins - bass
Art Blakey - drums

Recorded on March 8, 1957 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.