Hank Mobley / Another Workout

ハンク・モブレー自身のアルバムWorkoutは、1961年3月録音。同年12月に録音されたのが本作なので、Another Workoutとタイトルされ、ジャケットも続編のようなイメージ。しかしながら、前作に参加したグラント・グリーンは、本作では抜けているので演奏の雰囲気は大きく異なる。しかも、リリースは85年なので20年以上も倉庫に眠っていた音源。マイケル・カスクーナによって発掘された訳であるが、ボツになった音源であることを隠すため、Workoutの別テイクのように装ってリリースされた。商魂たくましいブルーノートのいやらしさを感じる。

では、なぜにボツになったのか。2枚のアルバムを続けて聴くと答えは簡単。前作に比べて、本作には勢いがない。61年前半はマイルスグループに在籍していたモブレー。その頃のWorkout、マイルスのもとを去ってからのAnother Workoutで、マイルスは「61年4月、〈中略〉モブレーはイマイチだったから、音楽に飽きがきはじめていた」と自叙伝で書いている。モブレーのディスコグラフィーを見ると、61年後半の録音は本作のみ。62年は全く録音していない。自信を失っていた時期と推測でき、After Workoutとすべきだった。

1. Out Of Joe's Bag
2. I Should Care
3. Gettin' And Jettin'
4. Hank's Other Soul
5. Hello Young Lovers

Hank Mobley - tenor saxophone
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on December 5, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Hank Mobley / Workout

アルバムSoul Station(1960年2月録音)とRoll Call(60年11月)、そして本作(61年3月)を合わせて、ハンク・モブレーの傑作3部作と呼ばれているらしい。しかし、参加メンバーは微妙に異なる。特に本作では、フロントはグラント・グリーンのギターとの組合せ。味付けを変えながら吹き込んだ3枚なので、3部作かも知れないが、決して3連作ではないのだ。

原田和典氏のライナーノーツから。「原盤ライナーノーツの冒頭に、評論家のレナード・フェザーはこう記した。“ヘンリー・モブレー(彼の本名。ハンクは愛称)はテナーサックスのミドル級チャンピオンである”。いやいやどうして、〈ワークアウト〉におけるモブレーは、まさしくヘヴィーウェイト級の迫力とドライブ感で聴き手をノックアウトしてやまない」。ボクシングの階級に例えて競い合っても仕方ない。むしろ、ここではグリーンとの駆け引きが興味深い。そして、アルバムタイトルは1曲目から持って来ているが、ジャケットの写真と合わせるならば、3曲目のSmokin'とすべきだった。

1. Workout
2. Uh Huh
3. Smokin'
4. The Best Things In Life Are Free
5. Greasin' Easy

Hank Mobley - tenor saxophone
Grant Green - guitar
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded on March 26, 1961 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Hank Mobley / Roll Call

60年代に入ってもジャズの本筋を貫こうとしたハンク・モブレーとその仲間達。アルバム全体の配曲バランスがいい。LPならば、A面もB面も十分な仕上がりになっている。ジャズ喫茶が盛んの頃、店主はどちらの面を回すか迷ったのではないだろうか。

5曲目のThe More I See You以外はモブレーの作品。ジャケットは、モブレーが自分のスコアを確認しているショットのような気がする。そして、ジャケットに記載された参加メンバーを見ると、モブレーの次にはアート・ブレイキー。本作を見事に下支えしたのはブレイキーなのだ。タイトル通り、ブレイキーのドラム・ロールを随所に楽しめるアルバム。

1. Roll Call
2. My Groove Your Move
3. Take Your Pick
4. A Baptist Beat
5. The More I See You
6. The Breakdown
7. A Baptist Beat [alternate take]

Hank Mobley - tenor saxophone
Freddie Hubbard - trumpet
Wynton Kelly - piano
Paul Chambers - bass
Art Blakey - drums

Recorded on November 13, 1960 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.