本田竹曠 / Another Departure

CD化されているが、中古市場に全く姿を現さないアルバム。名盤とまでは言わないものの、所有者にとっては貴重な愛盤なのだろう。収録された5曲は、すべて本田竹曠の作品。いずれも印象深い曲で、ピアニストだけでなく、コンポーザーとしての本田の才能を発揮したアルバムである。グレート・ジャズ・トリオのビレッジ・バンガードのライブは1977年2月。それから3ヶ月後に、ハンク・ジョーンズから本田に交代して録音した形になる。ただし、このメンバーでのセッションは、この1回限り。

LPのライナーノーツは油井正一氏が担当。最後にこう締め括っている。「〈このセッションを契機に、また自分の音楽に新しいステップが生まれる感じ〉と語る本田の言葉通り、彼の諸作を通じてもモニュメンタルな作品となった。まだ他にもこのセッションで演じられた6曲が残っているが、遠からぬ日に発表されることとなろう」。このノーツが書かれてから45年が経過したが、いまだに残り6曲は未発表のままだ。

1. Calypso Street
2. Spirits Flow
3. Wonder
4. Longing
5. Puddle

Takehiro Honda - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on May 2 & 3, 1977 at at Vanguard Studio, NYC.

★ 2022年5月6日に、「さくらのブログ」へ以下のコメントをいただいた。感謝。

いつも楽しく拝見しています。本田さんのアルバムですが、Reaching For Heaven というのがあり、これが同じ録音日なので、続編ではないでしょうか。スタンダードナンバーもあり、You Are My Heart's Delight というのがいいですね。

本田竹曠 / ふるさと - On My Mind -

ようやく手に入れることができたアルバム。2枚組中古CDで1,370円(送料別)。脳梗塞の後遺症で左半身に麻痺が残り、リハビリを続ける中で2004年8月に録音。五木寛之が「命をよみがえらせる演奏」と題して、本田へ次のようにエールを送っている。

「このアルバムは、ひとりのピアニストが後世に贈る、貴重な音楽の遺産である。現在も週に三日、透析に通わなければならない本田さんの有限の命が、ピアノの弦にのり移って鳴っているような気がするのは、私だけだろうか(2004年 秋)」。そして、2006年1月12日、本田は心不全で他界。享年60。

Disc 1
1. 赤とんぼ
2. 夕焼け小焼け
3. 七つの子
4. 月の砂漠
5. 赤い靴
6. 荒城の月
7. 浜辺の歌
8. さくらさくら
9. 仰げば尊し - 父の歌(宮古高校校歌)
10. 故郷

Disc 2
1. 赤とんぼ [alternate take]
2. さくらさくら [alternate take]
3. 月の砂漠 [solo version]
4. 故郷 - 我が心のジョージア

本田竹広 - piano
米木康志 - bass (Disc-1 2, 4-9, Disc-2 2)
本田珠也 - drums, percussion (Disc-1 2-9, Disc-2 2)
Damião Gomes De Souza - percussion (Disc-1 3, 7)
小澤敏也 - percussion (Disc-1 3, 4, 5, 7)
谷山明人 - percussion (Disc-1 3, 4, 6, 7)

Recorded on 3, 7, 8 and 14 August, 2004 at Crescente Studio, Tokyo.

本田竹曠 / EASE

本田は岩手県宮古市で生まれで、国立音大ピアノ科卒であることは良く知られている。しかし、中野区立第9中学校で学んだことは知られていないだろう(どうでもいい話であるが、自分は第7中学校卒なのである)。そして、スイングジャーナル選定ゴールド・ディスクを受賞したこのアルバムに関しては、なぜか今まで全く知らなかった。スイングジャーナルを毎月欠かさず購入し、情報収集していたにもかかわらず。

いろいろと考えてみると、理由は1978年3月結成されたフュージョンバンド『ネイティブ・サン』にあることが分かった。ジャズ界にフュージョンの嵐が吹き始めた70年代半ば。スイングジャーナルの記事や広告からフュージョンに関するものは全て読み飛ばしていた。このEASE - Earthian All Star Ensembleは、ネイティブ・サンの流れを汲んでいると勝手に思ったのだろう。Amazonで別のアルバムを探していた時、中古387円と出て来たので、中身を調べずにクリックしたアルバム。それぞれが親分肌のメンバーを集めたグループだったが、この1枚で終わったようだ。全員4番バッターだと、野球はつまらないのと同じ。

1. Ease
2. Cha-Cha-Cha
3. Soque Heiliant
4. Bird In The Yard
5. Is It True
6. Mr. Monster
7. Major To Minor
8. Savani
9. Sea Dream

峰厚介 - tenor saxophone, soprano saxophone
植松孝夫 - tenor saxophone
向井滋春 - trombone
本田竹曠 - piano
岡田勉 - bass
村上寛 - drums

Recorded on September 2, 3, 5 & 10, 1992 at Music Inn Studio.