Grant Green / I Want To Hold Your Hand

ザ・ビートルズのタイトル曲I Want To Hold Your Handが注目されるアルバム。この曲は、アメリカでは1963年12月にシングル盤でリリースされ、翌64年2月にヒットチャートで1位になっている。それから約1年後の65年3月に、本作が録音された。プロデューサーは、アルフレッド・ライオン。ビートルズの勢いを拝借した形だ。果たして、そのご利益はあったのだろうか。

アルバム全体、リラックスした中にも緊張感が漂うが、タイトル曲だけは少し違和感がある。原曲を意識しながらボサノバ風に仕上げている。アレンジは、グラント・グリーンか、それともラリー・ヤングだろうか。いずれにしても、ビートルズの曲をやってウケを狙ったと思われたくなかったのだろう。演奏内容は、プロデューサーに言われて何とかやり切りました、という感じだ。

本作がリリースされ、アルバムを手にした参加メンバーは驚いたに違いない。タイトルがI Want To Hold Your Handで、ジャケットは女性の顔のアップ。「抱きしめたい」とつぶやいたメンバーはいなかっただろう。

1. I Want To Hold Your Hand
2. Speak Low
3. Stella By Starlight
4. Corcovado (Quiet Nights)
5. This Could Be The Start of Something
6. At Long Last Love

Grant Green - guitar
Hank Mobley - tenor saxophone (tracks 1-4 & 6)
Larry Young - organ
Elvin Jones - drums

Recorded on March 31, 1965 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Grant Green / Talkin' About!

アルバムタイトルTalkin' Aboutは、1曲目のラリー・ヤング作Talkin' About J.C.から拝借している。ジャケットには、このTalkin' Aboutを羅列。では、J.C.とは…。ライナーノーツを担当した行方均氏によれば、「もちろんジョン・コルトレーンだ」とある。レナード・フェザーの英文ライナーノーツには、”Talkin' About J.C. . . . mention of Coltrane brings to mind the first title in the album, dedicated of course to Trane.”とあるので、その焼き写しだろう。そして、ヤングのWikipediaでは「1964年にブルーノートに移籍した頃には、ジョン・コルトレーンの顕著な影響が見えるようになった」と記されている。

しかしながら、本作の2年半前、1962年2月に録音したヤングのリーダー作Groove Streetには、この曲が収録されているのだ。その時点で、コルトレーンの影響があったかもしれないが、J.C.をコルトレーンと断定して良いのだろうか。まぁ、そんなことを思いながら、グラント・グリーン、ラリー・ヤング、エルビン・ジョーンズのトリオによる濃密な演奏をあれこれとTalkin' Aboutしたくなるのだ。

1. Talkin' About J.C.
2. People
3. Luny Tune
4. You Don't Know What Love Is
5. I'm an Old Cowhand
6. Deep River

Grant Green - guitar
Larry Young - organ
Elvin Jones - drums

Recorded on September 11, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Grant Green / Feelin' The Spirit

このアルバムが録音された同日、オーネット・コールマンはニューヨークのタウンホールでライブ演奏を行い、その記録がアルバムTown Hall 1962に残されている。オーネットの音楽とは対極にあるようなグラント・グリーンのソウルフルな演奏。ハービー・ハンコックが、グリーンのギタープレイを最大限に引き出すバックを務めている。ハンコックは、この年の5月にアルバムデビューを果たしたばっかり。弱冠22歳の出来事。

CD化で追加されたDeep River以外は、トラディショナル曲。英文ライナーノーツでJoe GoldbergがA fascinating combination: the techniques of modern jazz, blues, and gospel(モダンジャズ、ブルース、ゴスペルの演奏スタイルが魅力的に組み合わされている)と記している。それだけではない。自分には演歌の「こぶし」の要素も感じてしまうのだ。

1. Just A Closer Walk With Thee
2. Joshua Fit De Battle Ob Jericho
3. Nobody Knows The Trouble I've Seen
4. Go Down Moses
5. Sometimes I Feel Like A Motherless Child
6. Deep River

Grant Green - guitar
Herbie Hancock - piano
Butch Warren - bass
Billy Higgins - drums

Recorded on December 21, 1962 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.