Giuseppi Logan / The Giuseppi Logan Quintet

2009年9月号のスイングジャーナルに「幻のサックス奏者 ジュゼッピ・ローガン 喪失の40年」と題した記事が掲載された。この記事が書かれたのは7月下旬。その時点でアルバム制作の話があったようだ。それが実現したのが本作。前作Moreの録音は1965年5月。まさしく40年以上のブランクがあり、満を持しての発表。ローガンは、闘病生活やホームレスを乗り越えてのジャズ界復帰。そして、2020年4月17日に84歳で他界した。

どのサックス・プレイヤーとも比較ができない。尺度が違うのだ。ローガン独自の演奏スタイル。ヘロヘロ、フニャフニャ。芯を完全に外している。というか、彼には「芯」がない。彼の頭の中に鳴っている音楽は、太陽の周りを数十年、いや数百年の周期で廻っている惑星のようなもの。注目すべきは、Over The RainbowやBlue Moonのようなポップス系の曲をやっているだけでなく、マイルスの作品Freddie Freeloaderを取り上げていること。自分の根っこはジャズなんだ、とさりげなく主張している。

1. Steppin'
2. Around
3. Modes
4. Over The Rainbow
5. Bop Dues
6. Blue Moon
7. Freddie Freeloader
8. Love Me Tonight

Giuseppi Logan - saxophone, piano (tracks 6,8)
Matt Lavelle - trumpet, bass clarinet
Dave Burrell - piano
Francois Grillot - bass
Warren Smith - drums

Recorded on September 15, 2009 at The Magic Shop, New York City.

Giuseppi Logan / More

1965年5月1日、ニューヨークのタウンホール。アルバート・アイラーのセクステット、そしてジュゼッピ・ローガンのカルテットが出演。前者がアルバムBellsに、後者が本作に収められた。しかし、当時のリリースでは2曲目のShebarが前半で終了していた模様だ。2014年、レーベルESPの50周年を記念して、マスターテープから当時を完全に再現した形で再発された。ローガンを気にしたのは、2009年9月号のスイングジャーナルを読み直したため。記事のリードは以下のようにある。

2008年、ニューヨーク、イースト・ビレッジのトンプキンス公園で、不思議な魅力をもったサックスを奏でるホームレスがいた。その正体はなんと、あの幻のサックス・プレイヤー、ジュゼッピ・ローガン、60年代のフリージャズ・シーンに彗星のごとく現れた天才ミュージシャンだった。70年代に入って忽然と姿を消した彼が、40年の時を経て再び姿を現したのだ〈後略〉。〔文・長谷川素子〕

1. Mantu
2. Shebar
3. Curve Eleven
4. Wretched Sunday

Giuseppi Logan - alto saxophone, bass clarinet, flute, piano
Don Pullen - piano
Reggie Johnson - bass (tracks 1,2)
Eddie Gomez - bass (track 4)
Milford Graves - drums

Tracks 1 & 2
Recorded on May 1, 1965 at The Town Hall, NYC.

Tracks 3 & 4
Recorded in May 1965.

Giuseppi Logan / The Giuseppi Logan Quartet

ジュゼッピ・ローガン。名前すら特異性があり、ジャケットを見ているとクラクラしてくる。そして、演奏そのものがフニャフニャ。聴き終わった時、虚脱感のようなものが残るのだが、時が経つとまた聴きたくなるアルバム。怖いもの見たさ。虚しいもの聴きたさ。

ところがである。エディ・ゴメスのベースを中心に聴くと、ピアノもドラムも、そしてローガンの管楽器もベースの上に乗っかり浮遊しているのがわかる。ゴメスは、このアルバムの録音1964年10月の4年後68年6月からビル・エバンスのピアノトリオに参加。ローガンとのセッションの経験が活かされているのかは、かなり聴き込む必要がありそうだ。

1. Tabla Suite
2. Dance Of Satan
3. Dialogue
4. Taneous
5. Bleecker Partita

Giuseppi Logan - alto saxophone, tenor saxophone, pakistani oboe, bass clarinet, flute
Don Pullen - piano
Eddie Gomez - bass
Milford Graves - drums, tabla

Recorded on October 5, 1964 at Bell Studios, NYC.