1960年2月13日のライブ。1917年4月25日生まれのエラなので、この時はまだ40歳代前半。いわゆる脂が乗ってきた年齢。ジャズ・ボーカルを聴いてみたいという人がいれば、まずはこのアルバムを勧めたい。エラの歌に聴衆が酔い、聴衆の反応にエラが酔っている。さらに、ジム・ホールのギターが深い酔いへと誘ってくれる。
LPのライナーノーツに「1万2千人という満員の聴衆を前にして歌ったエラ・フィッツジェラルドは大変な張切りようで、割れんばかりの拍手に応えて、エキサイティングに歌っています(岩浪洋三氏)」と書かれていて、CDでは「ベルリンのドイチュランド・ホールにおいて、客席を埋め尽くした12,000人の観衆を前にエラが熱唱に次ぐ熱唱を聴かせる名盤だ(杉田宏樹氏)」とある。この観客数は、ジャケット裏にノーマン・グランツが12,000人収容できる会場と記載しているのを引用したのだろう。
ところがである、この会場をWikipediaで調べたら「1936年夏季オリンピックのために建てられたDeutschlandhalleは、8,764人を収容できた。ボクシング、重量挙げ、レスリングの競技はここで行われた」とあるのだ。12,000人が8,764人に減ったとしても、このアルバムの価値に変わりはないが、評論家は自らデータを調べる姿勢を持たなければならない。
1. Gone With The Wind
2. Misty
3. The Lady Is A Tramp
4. The Man I Love
5. Summertime
6. Too Darn Hot
7. Lorelei
8. Mack The Knife
9. How High The Moon
Ella Fitzgerald - vocals
Jim Hall - guitar
Paul Smith - piano
Wilfred Middlebrooks - double bass
Gus Johnson - drums
Recorded on February 13, 1960 at The Deutschland-Hall, Berlin.