Elvin Jones / Live At The Lighthouse Vol.1

CD帯から。「コルトレーングループを離れてからのエルビンは、往時の夢を追い求めるかのように強力なサックス奏者をフロントに立てたバンドを編成していった。トレーン派の若手だったリーブマン、グロスマンという2本のサックスを従えたバンドは、そんなエルビンの思いを見事に具現化させたものといってよい。〈ファンシー・フリー〉を筆頭に、ロスから遠くないハーモサ・ビーチにあった名クラブが、熱狂的な興奮に包まれてゆく」。

ピアノレスの2サックス・カルテット。ライナーノーツは後藤雅洋氏が担当。CD帯と同様にベーシストについては一切書いていない。ピアノレスだけに、ベースの役割は極めて重要である。残念なことに、ベースラインがあまりにも甘い。Gene Perla(ジーン・パーラ)のベースが下手ということではなく、このメンバーと合っていないのだ。ジャズをリズムで聴くのは簡単なのだが、心に刺さってくるのは緊張感溢れたスケールの根源を作るのがベース。エキサイティングなライブながら、今一つ鋭さに欠けるアルバム。

1. Introduction: Bill Chappell - Announcer: Rick Holmes
2. Fancy Free
3. New Breed
4. Small One
5. Sambra
6. My Ship
7. Taurus People
8. For All Those Other Times - Announcement

Steve Grossman - tenor saxophone, soprano saxophone
Dave Liebman - tenor saxophone, soprano saxophone, flute
Gene Perla - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on September 9, 1972 at Lighthouse Cafe, Hermosa Beach.

Elvin Jones / Heavy Sounds

タイトルと紫煙のジャケットから、重量級のどす黒いアルバムと評されることが多い。確かにその通りで、1曲目のFrank Foster(フランク・フォスター)作Raunchy Ritaからいきなりボディーブロー。そして、4曲目のSummertimeはエルビン・ジョーンズとリチャード・デイビスのデュオ。この2曲が、本作の骨格である。

だが、ラストにスタンダード曲Here's That Rainy Day組入れたのは、プロデューサーBob Thiele(ボブ・シール)によるものだろう。一つの狙いがあったはず。Heavyに「重々しい」だけでなく、「物憂い」という意味を込めたような気がする。コルトレーンが死去する1ヶ月前の録音。暗示的なアルバムでもある。

1. Raunchy Rita
2. Shiny Stockings
3. M.E.
4. Summertime
5. Elvin's Guitar Blues
6. Here's That Rainy Day

Frank Foster - tenor saxophone (tracks 1-3,5,6)
Billy Greene - piano (tracks 1,3,5,6)
Richard Davis - bass
Elvin Jones - drums, guitar

Recorded on June 19 & 20, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Elvin Jones / Illumination!

ライナーノーツは、LPを久保田高司氏、CDを小川隆夫氏が担当。このアルバムがどういう経緯で企画されたのか、二人とも書いていない。いや、書けなかった。知らなかったのだろう。コルトレーングループの3人(エルビン、ギャリソン、マッコイ)が、3人のホーン奏者を迎えた形。エルビンのディスコグラフィーを見ると、その3人とはこの時だけのセッションである。ジャケットにはFeaturing McCoy Tynerとあって、マッコイの立場をどう捉えればよいのか。びっくりマーク付きのタイトルIllumination!も意味不明。不思議いっぱいのアルバムであるが、解説の二人は何も感じなかったのだろうか。

プロデューサーはBob Thiele(ボブ・シール)。コルトレーンのいないコルトレーングループを作ったらどんな演奏になるか?リーダーアルバムをリリースしているフロントでは、その色がでてしまう。無名なミュージシャンでフロントを固めれば、フロント陣の色が薄まる。エルビンとギャリソンに照明をあてよう。なので、タイトルはIllumination!、マッコイも参加していることをジャケットに書いておこう。シールはそう考えたに違いない。つまり、このアルバムのリーダーはシールなのだ。

1. Nuttin' Out Jones
2. Oriental Flower
3. Half And Half
4. Aborigine Dance In Scotland
5. Gettin' On Way
6. Just Us Blues

Sonny Simmons - alto saxophone, English horn
Charles Davis - baritone saxophone
Prince Lasha - clarinet, flute
McCoy Tyner - piano
Jimmy Garrison - bass
Elvin Jones - drums

Recorded on August 8, 1963 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.