Don Pullen / Evidence Of Things Unseen

このアルバムを購入したきっかけを全く思い出せない。いつも参考にしている後藤雅洋氏の著書を確認してみたが、ドン・ピューレンのアルバムは紹介されていなかった。レーベルがブラック・セイントなので、別アルバムでの悠雅彦氏の解説がヒントだったのだろうか。それとも、ミンガスのアルバムChanges OneとChanges Twoを改めて聴いて、見事な演奏をしたピューレンのピアノソロに自ら手を出したのかも知れない。

何とも言葉では表現しにくい演奏。ソロといえども「起承転結」があるのが普通。それを意識して演奏するわけではないだろうが、いきなり「結」に入ってしまったら、次につながらないのだ。ピューレンのソロは、「起転転転・・・」という感じ。ラスト曲のRejoiceでようやくブルージーな感じになったと思ったら、60秒でフェイドアウト。ピューレン自身が解放されたアルバムとは思えない。

1. Evidence Of Things Unseen
2. Victory Dance (For Sharon)
3. Un In The Beginning (For Nick)
4. Perseverance
5. Rejoice

Don Pullen - piano

Recorded on September 28 & 29, 1983 at Vanguard Studios, NYC.

Don Friedman / Circle Waltz

ドン・フリードマンのアルバムは、この1枚しか所有していない。LPのライナーノーツで、野口久光氏が1975年春の時点でこう書いている。「1960年代初頭から66年にかけて5枚のリーダーアルバムをおくり出しているが、なぜかその後レコーディングをしていない。〈中略〉フリードマンほどの俊才が、レコーディングの機会を充分与えられていないところにも、アメリカのジャズ界、レコード界のきびしい現実があるとおもうのだが」。これはまさしく事実。

しかしながら、66年のリリースから10年近く沈黙したのち、75年に録音を再開。その後、年1枚のペースで録音を続け、2010年の最後のリーダーアルバムCircle Waltz 21Cまで合計33枚となっている。それでも本アルバムCircle Waltzが代表作と言われるのは、75年以降はマイナーレーベルからの発売が多く、マスコミに取り上げられなかったためだろう。最後のアルバムを聴いてみたいとAmazonで調べたら、新品で12,800円(Hybrid SACDフォーマット)。中古はなし。安価での再発予定はないのだろう。今日でも、レコード界は厳しい。

1. Circle Waltz
2. Sea's Breeze
3. I Hear A Rhapsody
4. In Your Own Sweet Way
5. Loves Parting
6. So In Love
7. Modes Pivoting

Don Friedman - piano
Chuck Israels - bass
Pete La Roca - drums

Recorded on May 14, 1962 at Plaza Sound Studios, NYC.

Don Cherry / El Corazón

ドン・チェリーとエド・ブラックウェルのデュオアルバム。しかしながら、二人が刺激し合いながらインタープレイを演じている訳ではない。共通のコンセプトを持って音楽を創り上げている。そのコンセプトとは、民族や国境を越えた「自然」である。ナチュラル・サウンドと書いてしまうと、とても軽い感じで、生活に根付いた音楽と言えばよいのだろうか。このアルバムを聴いていると、すーっと吸い込まれていき、気持ちが緩やかになる。

LPのライナーノーツでは、藤本雄三氏が最後にこう書いている。「ジャンルを問わず、一切の先入観を捨てて、己の姿を鏡に写すごとく、このサウンドに身をさらしてみればいいのだ。そこに投影された自己の姿をつぶさに見ればいいのだ」。対峙すべきジャズのアルバムは、それほど多くはない。そんな中で鼓動を感じて聴くアルバムの一つ。

1. Mutron / Bemsha Swing / Solidarity / Arabian Nightingale
2. Roland Alphonso
3. Makondi
4. Street Dancing
5. Short Stuff / El Corazón / Rhythm For Runner
6. Near-In
7. Voice Of The Silence

Don Cherry - pocket trumpet, piano, melodica, doussn' gouni, organ
Ed Blackwell - drums, wood drum, cowbell

Recorded in February 1982 at Tonstudio Bauer, Ludwigsburg, West Germany.