Curtis Fuller / Soul Trombone

ジャケットを見ると面白いことに気付く。まず、CURTIS FULLER!とびっくりマークが付いている。プロデューサーBob Thiele(ボブ・シール)の発想だろうか。むしろ、タイトルSoul Tromboneに付けた方がアルバムのイメージを表現していると思うのだが。

さらに、タイトルの下にはTHE JAZZ CLANと表記されている。CLANとは「一族」のような意味。本作が録音された1961年11月当時、カーティス・フラーはジャズ・メッセンジャーズに参加していた。そのコンセプトを受け継ぎながらも、自分らしさを出そうとしたようだ。だが、フラーのディスコグラフィーなどを調べても、CLANの文字が出てくるのは本作のみ。THE JAZZ CLANを名乗ってのライブ演奏はあったのかも知れないが、アルバムとしては「一族」が「一発」で終わってしまったようだ。

1. The Clan
2. In The Wee Small Hours Of The Morning
3. Newdles
4. The Breeze And I
5. Dear Old Stockholm
6. Ladies' Night

Curtis Fuller - trombone
Freddie Hubbard - trumpet
Jimmy Heath - tenor saxophone
Cedar Walton - piano
Jymie Merritt - bass
G.T. Hogan - drums (track 1)
Jimmy Cobb - drums (tracks 2-6)

Track 1
Recorded on November 15, 1961 at Rudy Van Gelder Studio in Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 2 & 3
Recorded on November 16, 1961 at Rudy Van Gelder Studio in Englewood Cliffs, New Jersey.

Track 4, 5 & 6
Recorded on November 17, 1961 at Rudy Van Gelder Studio in Englewood Cliffs, New Jersey.

Curtis Fuller / South American Cookin'

このまったり感がたまらない。トロンボーンという楽器そのものが、神経を撫でるような音色である。刺激し合うのではなく、寄り添うようなセッション。アルバムの最終曲は「枯葉」。どれだけのミュージシャンが、この曲を残してきたのだろう。こんなにまったりする「枯葉」も珍しい。タイトルとジャケットを「枯葉」に焦点を当てていれば、もっと注目されたアルバムになったはずだ。

ここでの「枯葉」の主役はZoot Sims(ズート・シムズ)。シムズは本作の半年前にアルバムEither WayでAl Cohn(アル・コーン)との掛け合いを演じた。シムズからすれば、組む相手をCurtis Fuller(カーティス・フラー)に変えての再録。どちらも名演である。

1. Hello Young Lovers
2. Besame Mucho
3. Willow Weep For Me
4. One Note Samba
5. Wee Dot
6. Autumn Leaves

Curtis Fuller - trombone
Zoot Sims - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Jymie Merritt - bass
Dave Bailey - drums

Recorded on August 23, 1961 in NYC.

Curtis Fuller / Blues-ette

失敗作である。ジャケットが。何度見ても、理解できない。演奏の中身はコテコテのジャズなのに、ジャッケトは何を伝えたいのか不明。タイトル・チューンのカーティス・フラー作Blues-etteのetteには、「嬢」とか「娘」という意味がある。ならば、ジャケットはブルース娘か。陳腐だ。

しかし、一曲目のFive Spot After Darkを聴いた瞬間、かつてのジャズ喫茶の雰囲気へ一気にタイムスリップ。こちらはベニー・ゴルソン作。このアルバムの価値は、この一曲で決まりなのだが、フラー名義のアルバムのため、タイトルをFive Spot After Darkにすることを避けたのだろう。名盤であることは間違いない。ただ、人に勧めるのは難しい。ジャケットについて尋ねられたら、答えようがないから。

1. Five Spot After Dark
2. Undecided
3. Blues-Ette
4. Minor Vamp
5. Love Your Spell Is Everywhere
6. Twelve-Inch

Curtis Fuller - trombone
Benny Golson - tenor saxophone
Tommy Flanagan - piano
Jimmy Garrison - bass
Al Harewood - drums

Recorded on May 21, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.