ジャズで「唄っているなぁ」と表現することがある。リズムとコード進行に対して、ためらいなく音が次々と出てくる感じ。リズムに乗ろうとか、コードに忠実になんて考えていると、曲はどんどん進んで行き、完全に乗り遅れてしまう。ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)は、アドリブの天才だった。1930年10月30日生れであるから、この時はまだ24歳。原曲をしっかり捉えて、自分のイメージを創り上げ、セッションでは全てを表現してきた。
そんなプレイヤーが自分の生れる半年前に交通事故で亡くなった。学生の時にブラウニーのLPを買い漁った。たしか、Emarcyの廉価版1,500円シリーズが出て、昼飯を我慢して大学生協に注文した記憶がある。そんなLPも傷だらけになり、ようやくCDを手に入れた。1曲目のチェロキーの出だしからドキドキである。そして、空腹だった学生時代の午後の授業が思い起こされる。
1. Cherokee
2. Jacqui
3. Swingin'
4. Lands End
5. George's Dilemma
6. Sandu
7. Gerkin' For Perkin'
8. If I Love Again
9. Take The "A" Train
Clifford Brown - trumpet
Harold Land - tenor saxophone
Richie Powell - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums
Recorded on February 23, 24 & 25, 1955 at Capitol Studios, NYC.