Miles Davis / マイルス・デイビス自叙伝①

JICC出版局 クインシー・トループ著 中山康樹訳 1990年5月26日発行 1,200円

書籍のタイトルは『自叙伝』となっているが、原作者クインシー・トロープによるインタビューによるもの。マイルスは、赤裸々な告白をしている。もっと以前にこの本を読んでいたら、マイルスのアルバムの聴き方も変わったのかも知れない。自叙伝で間違いはないものの、告白のような内容。マイルスの生き様とジャズの変遷が手に取るように分かる。『自叙伝①』は、アルバム『スケッチ・オブ・スペイン』までの出来事。

Miles Davis / Oh! MILES ―マイルスから愛をこめて―

Swing Journal Mook "Oh! MILES" ―マイルスから愛をこめて― 1985年8月1日発行 1,600円。マイルスが音楽生活40周年を迎え出版された。全236ページにマイルスの情報がぎっしり詰まっている。80年代は活字の力がまだ強かった。様々な情報源は新聞、月刊誌、単行本など。そして、ページをめぐりながら読み解く力も必要だった。

晩年、マイルスはスケッチに凝っていて、アルバムStar Peopleは自筆のスケッチ。スケッチを楽しむ様子が本書に載っている。そして、発行時点でのマイルスの完璧なディスコグラフィーを掲載。85年発行のため、本書ではアルバムYou're Under Arrestで完結している。恐らく、スイングジャーナル社は本書をマイルスに寄贈したと思うのだが、マイルス自叙伝②には、そのことは書かれていなかった。まぁ、日本語を読めるはずはないので、コメントはできなかったのだろう。そして、サブタイトル『マイルスから愛をこめて』は、ちょっと飛躍し過ぎていて、本書に対するマイルスからのメッセージなどは一切ない。

Miles Davis / マイルス・デイビス物語

スイングジャーナル社 Ian Carr(イアン・カー)著 小山さち子訳 1983年10月20日発行 1,900円。8年振りに読み直した。375ページを一気に。マイルスの音楽を深く理解するには最適な本である。著者イアン・カーは、イギリスのトランペット奏者でありジャズ評論家。75年に本書の執筆を着手し、81年に脱稿したとのこと。最後にアルバムWe Want Milesを取り上げて終わっている。

損をしているのは日本語タイトル。原題はA Critical Biography MILES DAVISなので、直訳すれば『マイルス・デイビス評伝』。『物語』では私生活を中心に書いているように思えてしまう。『マイルスの軌跡』といった内容なのだ。91年9月にマイルスが他界するまでの残り10年間を続編として期待していたが、イアン・カーの略歴を調べたところ、2009年2月25日に亡くなっていた。『マイルス最期の10年』なんて本を誰かが書いてくれないだろうか。