スイングジャーナル 1976年4月臨時増刊「世界ジャズ人名辞典」

45年前に発刊された辞典。当時の定価で1,300円。厚さ25mm、590ページ、アーティスト2,400人、活字110万字の超大作である。この臨時増刊が発刊されたとき、無事に浪人生活を終えて大学へ。そして、ジャズ研へ足を踏み入れ、ウッドベースをやろうと決意した。いまではネットで何でも検索できるが、ジャズマンの情報を網羅的に調べるには、この辞典以上のものはない。電子化される見込みは全く無いので、絶対に手放すことはできない。

改めて全体を確認したら、2つのことに気が付いた。掲載されている日本人は秋吉敏子のみ。当時のスイングジャーナル社は、渡辺貞夫や日野皓正が世界に通用するジャズマンとは、まだ認めていなかったのだ。そして、監修の野口久光氏と編集人の児山紀芳氏が、[G]の人名項目を担当した若手ジャズ評論家のホープ・中野宏昭氏が刊行なかばで急逝したことに対し、その悲しみを記している。自分の愛読書『ジャズはかつてジャズであった』を遺した中野氏。1976年3月17日死去。31歳だった。

スイングジャーナル 1974年11月臨時増刊「モダン・ジャズ読本'75」

高校を卒業する前年1974年11月に発刊された臨時増刊号。ジャズに少しだけ足を踏み入れた頃。なので、この増刊号は古本で買ったはずなのだが、どうも覚えていない。少し覚えているのは、デューク・エリントンの死。1974年5月24日。この増刊号では、エリントンを大きく取り上げている。なのに、表紙はハンコック。

定価1,000円、518ページの構成だが、半分近くがオーディオの記事で埋め尽くされている。「オーディオ読本」とも言える臨時増刊。

スイングジャーナル 2010年7月号

ついにという感じだが、このブログでスイングジャーナルのことを書く日が来た。別に何かがあった訳ではない。単に書きたくなっただけである。

2010年7月号で廃刊。編集後記を読むと、「63年の歴史を刻んで…休刊」との意味で書かれているが、自分を含めて多くの読者は「廃刊」と受け止めたに違いない。1970年代後半の学生時代から毎月購入してきた。それ以前のジャーナルが欲しくなり、神田に行って古本を買い漁ったこともよく覚えている。

残念ながら、ジャーナルを置く場所が我が家にはなくなり、70年代以降は譲ってしまった。首都圏のジャズ研ホームページに書込みをして、結果、東京理科大のジャズ研に約40年分を受け渡した。次の世代が頑張っていることを願う。

雑誌や月刊誌の置かれている状況は、年々厳しくなってきた。情報はネットから容易く入手できるし、ジャズミュージシャンの動向は、彼らのホームページから知ることができる。しかし、しかしなのだが「紙の文化」が無くなった訳ではない。液晶画面では、その肌触りを感じることはできない。ジャーナル最後の表紙はコルトレーン。右手から突き出した人差し指は何を語ろうとしていたのか?

少なくとも、このブログは今のところ休刊する予定は無し。だけど、63年はかなりきついなぁ。