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45年前に発刊された辞典。当時の定価で1,300円。厚さ25mm、590ページ、アーティスト2,400人、活字110万字の超大作である。この臨時増刊が発刊されたとき、無事に浪人生活を終えて大学へ。そして、ジャズ研へ足を踏み入れ、ウッドベースをやろうと決意した。いまではネットで何でも検索できるが、ジャズマンの情報を網羅的に調べるには、この辞典以上のものはない。電子化される見込みは全く無いので、絶対に手放すことはできない。
改めて全体を確認したら、2つのことに気が付いた。掲載されている日本人は秋吉敏子のみ。当時のスイングジャーナル社は、渡辺貞夫や日野皓正が世界に通用するジャズマンとは、まだ認めていなかったのだ。そして、監修の野口久光氏と編集人の児山紀芳氏が、[G]の人名項目を担当した若手ジャズ評論家のホープ・中野宏昭氏が刊行なかばで急逝したことに対し、その悲しみを記している。自分の愛読書『ジャズはかつてジャズであった』を遺した中野氏。1976年3月17日死去。31歳だった。
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