現代思想 2010年5月臨時増刊号 ボブ・ディラン

青土社 2010年4月20日発行 定価1,800円。下記のように様々な分野の人がディランを論じている。アメリカ文学を専門にする筆者が多いのは、ディランだからこそだろう。そして、ミュージシャンは友部正人だけ。友部はエッセイ「ボブ・ディランを探して」として寄稿し、最後にこう結んでいる。

「ディランとは、言葉という煙を吐きながら音楽を捨てずに生きてきた人のことだと思う。言葉という煙は消えてしまうが、結局ディランは残るのだ。残ってまた煙を吐き続けて進んで行く。ぼくは遠くにいてもその煙を見ているしかない。そうすればディランが今どこにいるかがわかるのだ」。

友部正人(ミュージシャン)、三井徹(英文学)、アーサー・ビナード(詩人)、瀬尾育生(詩人)、山内功一郎(アメリカ文学)、飯野友幸(アメリカ文学)、ポール・スワンソン(宗教学)、佐藤良明(アメリカ文学)、岡崎乾二郎(芸術家)、長畑明利(アメリカ文学)、大和田俊之(アメリカ文学)、五十嵐正(音楽評論家)、市田良彦(社会思想史)、平井玄(音楽評論家)、荒このみ(アメリカ文学)、吉岡忍(作家)、東琢磨(音楽評論家)、南田勝也(社会学)、源中由記(アメリカ文学)、堀内正規(アメリカ文学)、湯浅学(音楽評論家)

Bob Dylan / DISC GUIDE

レコード・コレクターズ増刊 2010年4月1日発行 定価1,700円。ディランに関する書籍は何冊か所有していたが、各アルバムについての解説書を持っていなかったので、試しに購入してみた。タイトル通りの書籍なのだが、メインとなるディスク解説は和久井光司という人物が担当していて、そのことは表紙に記載されていない。この手の書籍は、誰のガイドなのかが重要だと思う。

ディラン初心者が、購入するアルバムを決めるための情報源、もしくは購入した後に内容を確認する書籍としては適しているだろう。だが、ディランを長年聴いてきた自分としては、残念ながら単なる情報の羅列でしかない。

Bob Dylan / 自由に生きる言葉

イースト・プレス 2007年4月10日発行 定価1,000円

2009年3月に古本で購入した。ディランが吐きだしてきた言葉がちりばめられている。180ページ近い本であるが、10分もあれば一気に読めてしまう。だが、ディランの言葉をしっかり受け止めるには、ときどき本棚から出して、反復しなければならない。

表紙にある「なにかをやるときには、体をのめり込むんだ。」は1983年のニューヨークで。これまで、何度この本を引っ張り出してきただろうか。

今夜の収穫。「進もうと思えば、どの方向にだって進めるのさ。」(1985年 ニューヨーク)