Benny Golson / Gettin' With It

5曲中のラスト3曲が、ベニー・ゴルソンの作品。それにもかかわらず、アルバムタイトルは、自作の曲名から拝借していない。そこで、get with itを調べたところ、口語で「流行に遅れないようにする」とか「仕事に精を出す」などの意味があることが分かった。

1959年に入ると、Prestigeの傍系レーベルNew Jazzから、ゴルソンは3枚のアルバムを立て続けに録音(6月Gone With Golson、8月Groovin' With Golson、12月Gettin' With It)。いずれも、フロントはゴルソンとカーティス・フラー。ただし、バックのピアノトリオは入れ替わっている。それに先立って、5月には、フラー名義でレーベルSavoyにアルバムBlues-etteを録音している。59年は、二人にとって充実した一年だったのだろう。そこで、タイトルGettin' With Itなのだが、ゴルソンの"G"に合わせてGone, Groove, Getの3Gシリーズと勝手に命名。59年を締め括って、Gettin' With Itは「総仕上げだ!」という意味合いだろうか。

1. Baubles, Bangles, And Beads
2. April In Paris
3. Blue Streak
4. Tippin' On Thru
5. Bob Hurd's Blues

Benny Golson - tenor saxophone
Curtis Fuller - trombone
Tommy Flanagan - piano
Doug Watkins - bass
Art Taylor - drums

Recorded on December 23, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Brigitte Fontaine / Comme A La Radio

邦題『ラジオのように』。Brigitte Fontaine(ブリジット・フォンテーヌ)はシャンソン歌手として位置付けられるのだろうが、このアルバムではアート・アンサンブル・オブ・シカゴがバックを務めているので、自分の中では、それはもうジャズ。ライナーノーツを担当した松山晋也氏によると、なぜかレスター・ボウイは参加せずに、代役としてレオ・スミスがトランペットを引き受けたそうだ。だが、ボウイのWikipediaには、参加アルバムとして本作が掲載されているので、真相は不明。

まぁ、それはよしとして、自分自身にはフォンテーヌを語るバックグラウンドがない。さらには、ライナーノーツに歌詞カードと訳詞も掲載されているのだが、それを読めばコメントできるという訳でもない。黙ってラジオのように聴くしかないのだ。

1. Comme A La Radio / ラジオのように
2. Tanka II / 短歌 II
3. Le Brouillard / 霧
4. J'Ai 26 Ans / 私は26才
5. L'Ete L'Ete / 夏、夏
6. Encore / まだ
7. Leo / レオ
8. Les Petits Chevaux / 子馬
9. Tanka I / 短歌 I
10. Lettre A Monsieur Le Chef De Gare De La Tour Carol / キャロル塔の駅長さんへの手紙
11. Le Goudron / やに
12. Le Noir C'est Mieux Choisi / 黒がいちばん似合う
13. Les Beaux Animaux / 美しい動物たち
14. J'Ai 26 Ans (version anglaise) / 私は26才(英語バージョン)
15. Comme A La Radio (version anglaise) / ラジオのように(英語バージョン)

Brigitte Fontaine - vocal
Areski - percussions
Art Ensemble Of Chicago: Roscoe Mitchel, Joseph Jarman, Malachi Favors, (Lester Bowie)
Leo Smith - trumpet

Recorded on November 15, 1969 and February 4, 1970.

Bud Powell / A Portrait of Thelonious

かなり怪しいアルバム。所有していたLPのライナーノーツは佐藤秀樹氏が担当し、こう書いている。「最上のコンディション下で録音されている。それは、彼(パウエル)にとって、日頃馴れているトリオ・メンバーという条件もあるが、ナイト・クラブという雰囲気も加わって、よけいにリラックスした気分が感じられるのだろう」。つまり、LPは拍手が入ったライブアルバムだったのである。ところが、CD化によってジャケットにはStudio Charlot, Parisと記載され、拍手は取り除かれた。

プロデューサーは、なんとキャノンボール・アダレイ。アダレイのディスコグラフィーを見ると、本作の録音の2日前、このトリオにドン・バイアスと自身を含めたクインテットによって、パリの同じスタジオでセッションを行なっている。つまり、アダレイが本作のスタジオ録音に関わったことは事実であろう。ならば、なぜにライブを装ったのか。しかも、パウエルはモンクの作品を4曲しか演奏していない。タイトルが不適切とは言わないものの、的を射てはいない。そんな怪しいアルバムではあるが、後期パウエルのピアノを十分に堪能できる内容。さらに、録音の日付が、自分の誕生日でもあるのだ。

1. Off Minor
2. There Will Never Be Another You
3. Ruby, My Dear
4. No Name Blues
5. Thelonious
6. Monk's Mood
7. I Ain't Fooling
8. Squatty
9. Squatty [unissued alternate]

Bud Powell - piano
Pierre Michelot - bass
Kenny Clarke - drums

Recorded on 17 December 1961 at Studio Charlot, Paris.