Bill Evans / Explorations

名盤と称されるアルバム。だが、名盤と言われているので、名盤だと思い込んでしまっているような気がする。インタープレイであるかどうかは別として、ピアノトリオの司令塔は間違いなくベースでなければならない。ここでのスコット・ラファロは、その役目を果たしていない。ポール・モチアンのドラムも前のめりではなく、もたついている。リズム、いや鼓動といったほうがいいだろう。その鼓動を軸に聴いたら、こんなにも心を揺さぶられないピアノトリオも珍しい。

よく考えてみると、Explorations(探求)とは大胆なタイトルである。プロデューサーのオリン・キープニュース自身が、探求したかったピアノトリオの一つの形態。

1. Israel
2. Haunted Heart
3. Beautiful Love [take 2]
4. Elsa
5. Nardis
6. How Deep Is The Ocean?
7. I Wish I Knew
8. Sweet And Lovely
9. Beautiful Love [take 1]
10. The Boy Next Door

Bill Evans - piano
Scott LaFaro - bass
Paul Motian - drums

Recorded on February 2, 1961 at Bell Sound Systems, NYC.

Bill Evans / Portrait In Jazz

自分の中のジャズピアニストとしては、エバンスは中途半端な存在。モンクには強烈な個性があり、マッコイからはエネルギーがもらえる。山下洋輔はニヤリとできて、キースは驚きの連続である。パウエルからはカウンターパンチをもらうことがあり、テイラーには考え込むことも…。

そういう意味では、エバンスからは大きな刺激を受けない。それは決して悪い意味ではなく、精神的に高揚せず安定していくのだ。だからと言って、緊張感がない訳でもない。心地よい緊張と安らぎとでも言おうか。現在所有するエバンスのアルバムは29枚。本作はピアノ、ベース、ドラムが対話を進める演奏。聴くたびに新たな発見がある。Portrait In Jazzをどう日本語に訳せばよいのか。「ジャズの描写」では伝わらない。ジャズを生活の中に感じて欲しいという想いがあるような気がする。ならば、邦題は「日々ジャズ」で決まり!

1. Come Rain Or Come Shine
2. Autumn Leaves [take 1]
3. Autumn Leaves [take 2]
4. Witchcraft
5. When I Fall In Love
6. Peri's Scope
7. What Is This Thing Called Love?
8. Spring Is Here
9. Some Day My Prince Will Come
10. Blue in Green [take 3]
11. Blue in Green [take 2]

Bill Evans - piano
Scott LaFaro - bass
Paul Motian - drums

Recorded on December 28, 1959 at Reeves Sound Studios, NYC.

Bill Evans / Green Dolphin Street

チェット・ベイカーのアルバムChetと同日のセッション。この日のプロデューサーはオリン・キープニュース。CDのジャケット裏には、LPで使われたキープニュース自身によるライナーノーツの写真コピーが掲載されている。極めて小さい文字なのだが、次のような主旨。「Chetのセッションが終わった夜、リズムセクションだけの演奏を提案した。スタジオでの1つの仕事を終えれば、普段は疲れ切ってしまうが、全てをまだやり遂げていない気がした。そして、我々には燃えるエネルギーがまだ残っていた」。

つまり、キープニュースの機転で生まれた録音だったが、アルバム化に関しては当時のエバンスから了解が得られず、テープは1975年までお蔵入りしてしまった。エバンスは何が気に入らなかったのか。「Chetのセッションを終え、緊張感を失ってしまった。エネルギーはあったが、やる気はなかった。そんな自分の演奏を世に出す事は納得できなかった」。そんな感じではないだろうか。

1. You And The Night And The Music
2. My Heart Stood Still
3. On Green Dolphin Street
4. How Am I To Know?
5. Woody'n You [take 1]
6. Woody'n You [take 2]
7. Loose Bloose

Tracks 1 - 6
Bill Evans - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on January 19, 1959 at Reeves Sound Studios, NYC.

Track 7
Zoot Sims - tenor saxophone
Jim Hall - guitar
Bill Evans - piano
Ron Carter - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on August 21, 1962 in NYC.