Art Blakey / Moanin'

ジャズに全く馴染みのない人でも、「モーニン」のメロディーを知らない人はまずいないだろう。そして、ジャズに少しでも興味がある人は、「蕎麦屋の出前持ちまで口笛で〈モーニン〉を吹いていた」と、どこかで読んだことがあるに違いない。ジャズ・メッセンジャーズは1961年1月に初来日。その前の油井正一氏の発言である。ただし、この時点では58年10月録音の本作Moanin'は国内販売されていなかった。

しかし、58年12月録音のクラブ・サンジェルマンでのライブアルバムはすでに発売。その中にMoanin' With Hazelがある。With Hazelと付いたのは、会場にいた女性ピアニストHazel Scottが、ボビー・ティモンズのソロの途中にOh Lord have mercy!と叫んだから。このライブアルバムを注意深く聴くと、彼女の叫び声を聴き取ることができる。ということで、出前持ちが吹いた口笛には「おお主よ、憐れみを!」の意味が込められていた…そんなはずはない。

1. Moanin'
2. Moanin' [alternate take]
3. Are You Real
4. Along Came Betty
5. The Drum Thunder Suite
6. Blues March
7. Come Rain Or Come Shine

Benny Golson - tenor saxophone
Lee Morgan - trumpet
Bobby Timmons - piano
Jymie Merritt - bass
Art Blakey - drums

Recorded on October 30, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey.

Art Blakey / Art Blakey's Jazz Messengers With Thelonious Monk

アート・ブレイキーとセロニアス・モンクとの共演は数多くある。ただし、当然のことであるが、ジャズ・メッセンジャーズ名義のアルバムに、モンクが参加したのはこの1枚のみ。ジョニー・グリフィン作Purple Shadesを除けば、全てモンクの作品。モンクは相手のブレイキーの土俵で相撲をとっても、その土俵を完全に自分の物にしている。

タイトルを「モンクとジャズ・メッセンジャーズ」としたほうが自然であり、ジャケットにも工夫を凝らしていればアルバムの知名度も上がっただろう。当時、モンクはリバーサイドと契約していたので、その辺りの問題があったのかも知れない。

1. Evidence
2. In Walked Bud
3. Blue Monk
4. I Mean You
5. Rhythm-A-Ning
6. Purple Shades
7. Evidence [alternate take]
8. Blue Monk [alternate take]
9. I Mean You [alternate take]

Johnny Griffin - tenor saxophone
Bill Hardman - trumpet
Thelonious Monk - piano
Spanky DeBrest - bass
Art Blakey - drums

Recorded on May 14 & 15, 1957 in NYC.

Art Blakey / A Night In Tunisia [Vik]

1956年5月4日のジャズ・メッセンジャーズ名義での録音を最後に、ホレス・シルバーはメッセンジャーズを去った。最初はHorace Silver And The Jazz Messengersであったが、その後の表記は次の3パターンが使われるようになった。本作は3つ目のパターン。つまり、「アート・ブレイキー所有のジャズ・メッセンジャーズ」。ホレス・シルバーは、どんな思いだったのだろうか。

1. Art Blakey And The Jazz Messengers
2. Art Blakey And His Jazz Messengers
3. Art Blakey's Jazz Messengers

さて、このアルバムはVikレーベルで1957年4月8日録音。リリースは58年2月。ディスコグラフィーによると、ジョニー・グリフィンとジャッキー・マクリーンが揃ってジャズ・メッセンジャーズに参加した唯一のセッション。同じタイトルで、ブルーノートからもリリースされている。そちらの録音は60年8月で、ウェイン・ショーターとリー・モーガンの組合せ。名門レーベルとしては、タイトルを同じにするというミスをしてしまったのだ。

1. A Night In Tunisia
2. Off The Wall
3. Theory Of Art
4. Couldn't It Be You?
5. Evans

Johnny Griffin - tenor saxophone
Jackie McLean - alto saxophone
Bill Hardman - trumpet
Sam Dockery - piano
Spanky DeBrest - bass
Art Blakey - drums

Recorded on April 8, 1957 in NYC.