Archie Shepp / Life At The Donaueschingen Music Festival

一曲44分の一発勝負。ドナウエッシンゲン音楽祭(独:Donaueschinger Musiktage)での、コルトレーンの死後3ヶ月のライブ演奏。この音楽祭での演目作品は、原則として世界初演となる現代音楽だそうだ。LPでのリリースは、A面:Part I、B面:Part IIに分かれていたが、CDでも同じ構成となった。タイトルをLive At ...ではなくLife At ...としたのは、コルトレーンへの追悼の意味があったのだろうか。

ジミー・ギャリソンのベースソロでスタート。曲のタイトル通りOne For The Traneの印象を与える。ただし、シェップのテナーサックスからは、コルトレーンの十八番だった曲(My Favorite Things, Naima, Afro Blue, Impressionsなど)の旋律は出て来ない。むしろ、The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)が飛び出し、緊張感が和らいでしまう。アルバムは、会場からのアンコールの手拍子で終わるのだが、果たして一発勝負の後に、アンコールに応えたのだろうか。Naimaなどを吹いたら、世界初演となる現代音楽にならない。

1. One For The Trane, Part I
2. One For The Trane, Part II

Archie Shepp - tenor saxophone
Grachan Moncur - trombone
Roswell Rudd - trombone
Jimmy Garrison - bass
Beaver Harris - drums

Recorded on October 21, 1967 at The Donaueschingen Musiktage 1967, West Germany.

Archie Shepp / The Magic Of Ju-Ju

アーチー・シェップというミュージシャンが、言わば自身の暖簾を掲げたアルバムと言える。ジャズと言えばジャズであり、ブルースと言えば、そう言ってもおかしくない。つまり、シェップの礎を築いたということになる。ある意味で、ジャケットのアイデアも功を奏した。タイトルも好奇心を誘うものであった。これらの演出に、毛嫌いしたジャズファンもいただろう。

しかし、演奏の中身はかなり濃い。ピアノレスというのが、ひとつのポイントになっている。和音楽器を入れなかったことで、音の自由度が高まっている。簡単に言えば、リズムを重視したのだが、シェップの粘り気の強いサックスが見事に炸裂している。

1. The Magic Of Ju-Ju
2. You're What This Day Is All About
3. Shazam!
4. Sorry 'Bout That

Archie Shepp - tenor saxophone
Martin Banks - trumpet, flugelhorn
Mike Zwerin - bass trombone, trombone
Reggie Workman - bass
Norman Connors - drums
Beaver Harris - drums
Frank Charles - talking drum
Dennis Charles - percussion
Ed Blackwell - rhythm logs

Recorded on April 26, 1967 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Archie Shepp / Live In San Francisco

1966年2月19日、サンフランシスコでのライブ演奏。ジャズが抑えきれないくらいのエネルギーを持っていた時代。しかし、このアルバムの演奏はどこから来て、どこへ行くのか、焦点が定まっていない。ジャケットの写真も、スーツ姿で観光に来たような雰囲気。4曲目のThe Weddingはアーチー・シェップによる詩の朗読。会場からの拍手は一切なし。人種差別に関する内容なのか。そして、ラストのIn A Sentimental Moodは素材として使ったのだろうが、ほとんど料理できていない。生焼けを食ったような感じ。この頃、アーチー・シェップは、まだまだジャズを消化できていなかった。

CD帯は「名演〈ザ・レイディ・シングス・ザ・ブルース〉を含む、60年代シェップの極めつきライブ。盟友ラズウェル・ラッドのトロンボーンも光彩を放つ、シェップ初期の力作。伝説のピアニスト、ハービー・ニコルスの楽曲も演奏」とある。力作かもしれない。だが、朗読などを聞かされた観客が満足したとは到底思えない。

1. Keep Your Heart Right
2. Lady Sings The Blues
3. Sylvia
4. The Wedding
5. Wherever June Bugs Go
6. In A Sentimental Mood

Archie Shepp - tenor saxophone, piano, recitation
Roswell Rudd - trombone
Donald Garrett - bass
Lewis Worrell - bass
Beaver Harris - drums

Recorded on February 19, 1966 at The Both/And Club, San Francisco, CA.