Kenny Dorham / Quiet Kenny

ようやく安価な中古CDを見つけて購入。邦題は『静かなるケニー』。LPを所有したときから思っていたのだが、この訳は間違いではないだろうか。quietは余計な動きや音がないという意味を持つ。ジャズはアドリブが勝負。それも、演奏する曲のイメージをどれだけ膨らませるかが鍵となる。余計な音を出してイメージを壊してしまったら負けなのだ。意訳ながら「秘めたるケニー」でどうだろうか。

さて、1曲目のLotus Blossom(蓮の花)はケニーのオリジナル。6拍子と4拍子を組み合わせ変則的ながら印象に残る曲。ところが、Asiatic Raesという曲名で、ソニー・ロリンズが1957年9月録音のアルバムNewk's Timeに、フレディ・ハバードが60年11月録音のアルバムGoin' Upに収録している。このQuiet Kennyは59年11月録音なので、何とも不思議である。

1. Lotus Blossom
2. My Ideal
3. Blue Friday
4. Alone Together
5. Blue Spring Shuffle
6. I Had The Craziest Dream
7. Old Folks
8. Mack The Knife

Kenny Dorham - trumpet, vocals
Tommy Flanagan - piano
Paul Chambers - bass
Art Taylor - drums

Recorded on November 13, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.

Kenny Dorham / 'Round About Midnight At The Cafe Bohemia

1956年5月31日のカフェ・ボヘミアでのライブ演奏は、ケニー・ドーハムのディスコグラフィーを見ると4つのセットに分かれている。最初のセットで7曲、2番目も7曲、3番目が6曲で、最後は3曲のみ。全23曲の中から選ばれた6曲のセットは、収録曲順に3rd, 3rd, 3rd, 2nd, 1st, 2ndとなっていて、4thからは選択されず。LPの時代。収録時間は限られ、しかもA面とB面で分けなければならない。曲の選択と順番に苦労したのだろう。

さて、大きな疑問が残る。第1セットでは、ゲストであるケニー・バレルが参加していなかったことだ。集合時間を間違えた。弦を買いに行って間に合わなかった。ギャラが折り合わず途中から参加。リーダーが同じKennyなので、何となく気分が乗らなかった。もっと現実的なことが、バレルのディスコグラフィーにあった。アルバムIntroducing Kenny Burrellの録音は、このライブの前々日と前日。自分名義の2日連続のセッションを終え疲れ切っていたのだ。つまり、単なる遅刻。その時のドラマーがKenny Clarkeだったので、Kennyにはもううんざりしたのかも知れない。

1. Monaco
2. 'Round Midnight
3. Mexico City
4. A Night In Tunisia
5. Autumn In New York
6. Hill's Edge

Kenny Dorham - trumpet
J. R. Monterose - tenor saxophone
Kenny Burrell - guitar (except track 5)
Bobby Timmons - piano
Sam Jones - bass
Arthur Edgehill - drums

Recorded on May 31, 1956 at The Cafe Bohemia, Greenwich Village, NYC.

Kenny Dorham / The Jazz Prophets Vol.1

The Jazz Messengers(ジャズの使者)に対抗して作られたジャズ・コンボThe Jazz Prophets(ジャズの預言者)。一般論であるが、この手の後発隊は一発花火で終わることが多い。先発隊は何らかの荒波を乗り越えているから、そう簡単に沈没することなくシブトイのだ。メッセンジャーズに参加してきたケニー・ドーハム自身は、そんなことはよく分かっていたはず。それでも「預言者」になりたかったのだろう。

一発目の花火としては、決して悪くない演奏。だが、ジャケットにVol.1としっかり記載してしまった。これが失敗。Vol.2が必ずリリースされるという確約などないのだ。特にジャズの世界は。ジャケットのトランペットは水平よりやや上向きながら、ドーハムの閉じた目線は下を向いている。「Vol.2は難しいかも知れないなぁ」という雰囲気。その預言は的中してしまったのだ。

1. The Prophet
2. Blues Elegante'
3. DX
4. Don't Explain
5. Tahitian Suite

Kenny Dorham - trumpet
J.R. Monterose - tenor saxophone
Dick Katz - piano
Sam Jones - bass
Arthur Edgehill - drums

Recorded on April 4, 1956 in NYC.