Chet Baker / In New York

意外にもと言うか、やっぱりと言ったほうがよいのだろう。チェット・ベイカーとジョニー・グリフィンの共演が残されたアルバムは、この1枚のみ。グリフィンは全7曲中の3曲のみの参加であるが、この二人の演奏スタイルは水と油といった感じ。プロデューサーのオリン・キープニュースは、この組み合わせで何を狙ったのか。

グリフィンのブロウに煽られて、ハードにトランペットを吹くベイカーを描いたような気がするのだが…。だとすれば、3曲とは言わず、全曲参加させるべきだった。しかも、ベイカーに気を遣ってかグリフィンは少し抑え気味に吹いている。ベイカーのディスコグラフィーを見ると、1957年末から活動の拠点をロスからニューヨークに移した。タイトルをIN NEW YORKと題したのは、ニューヨークでの人気の定着を図ろうとしたからに違いない。しかしながら、いま一つ中途半端な出来になってしまったようだ。

1. Fair Weather
2. Polka Dots And Moonbeams
3. Hotel 49
4. Solar
5. Blue Thoughts
6. When Lights Are Low
7. Soft Winds

Chet Baker - trumpet
Johnny Griffin - tenor saxophone (tracks 1,3,5)
Al Haig - piano
Paul Chambers - bass
Philly Joe Jones - drums

Recorded in September, 1958 at Reeves Sound Studios, NYC.

渡辺貞夫 / Iberian Waltz

中古紙ジャケCDが手元に届いて目を疑った。LPより曲数が少ない、しかも曲目が異なる。ただしジャケットは全く同じ。LPとCDのライナーノーツを読み比べながら、状況が見えて来た。所有していたLPはオリジナル盤ではなかったのだ。このアルバムは、スイングジャーナル主催ジャズ・ディスク大賞「日本ジャズ賞」を受賞。来日していたチャーリー・マリアーノは、1968年1月16日の授賞式に渡辺貞夫と出席。同月21日に受賞記念のセッションを行なった。ドラマーが富樫雅彦から渡辺文男に交代したが、他のメンバーは同じ。LPのB面がこのセッションに入れ替えられ、再発されたことになる。LPのライナーノーツを担当した油井正一氏は、このことに一切触れていない(1974年8月付け)。これは手抜きだ。そして、CD化に際しては、本来のアルバムに受賞記念セッションを加えるべきだった。

1965年11月にバークリー音楽院から帰国し、約1年半後に録音されたアルバム。自信をつけたナベサダと、これからの自分のジャズに一種の迷いがあるナベサダが交錯している感じだ。自分のジャズではなく、今求められているジャズを演じるナベサダがここにいる。ここが、ナベサダとしての本当の意味での出発点になったのだと思う。

CD
1. Iberian Waltz
2. I Thought About You
3. Stone Garden Of Ryoanji
4. God Has Mercy

LP
1. Iberian Waltz
2. I Thought About You
3. Palisades
4. Lament
5. You Are My Heart's Delight

CD: All Tracks, LP: Tracks 1 & 2
渡辺貞夫 - alto saxophone (except track 2), flute (track 3), indian-flute (track 4)
Charlie Mariano - alto saxophone, nagasvaram (track 4)
菊地雅章 - piano
原田政長 - bass
富樫雅彦 - drums
Recorded on June 28, 1967 at Teichiku Kaikan Studio, Tokyo.

LP: Tracks 3, 4 & 5
渡辺貞夫 - alto saxophone
Charlie Mariano - alto saxophone (except track 3)
菊地雅章 - piano
原田政長 - bass
渡辺文男 - drums
Recorded on January 21, 1968 at Teichiku Kaikan Studio, Tokyo.

Wynton Marsalis / Live At Blues Alley

ウイントン・マルサリスは未だにファンになれないし、この先もだめだろう。トランペットがうまいのは分かっている。フォー・ビート回帰の立役者だったということも評価したい。だけど、ジャズの巨人と言われてきたミュージシャンは、ジャズ界がどうなろうと気にはしていなかったはずだ。自分が目指す音楽をやっていたに過ぎない。つまり、「回帰」などという考えは全くなかった。パーカー、コルトレーン、マイルス、ミンガス、モンク、パウエル。誰一人、ジャズに対して過去の遺産みたいな考えはなかった。

だが、気になるアルバムは聴いておかないと、まともに批判することもできない。そう考え、2枚組の廉価盤を見つけて5年前に購入。確かにうまいけど、クリフォード・ブラウンを初めて聴いたときの興奮はない。自分の耳が肥えてしまったのか、ある種の先入観なのか。それより、マーカス・ロバーツのピアノが気になった。モンク的アプローチを彼なりの解釈で演じている印象。

Disc 1
1. Knozz-Moe-King
2. Just Friends
3. Knozz-Moe-King (Interlude)
4. Juan
5. Cherokee
6. Delfeayo's Dilemma
7. Chambers Of Tain
8. Juan (E. Mustaad)

Disc 2
1. Au Privave
2. Knozz-Moe-King (Interlude)
3. Do You Know What It Means To Miss New Orleans?
4. Juan (Skip Mustaad)
5. Autumn Leaves
6. Knozz-Moe-King (Interlude)
7. Skain's Domain
8. Much Later

Wynton Marsalis - trumpet
Marcus Roberts - piano
Robert Hurst - bass
Jeff "Tain" Watts - drums

Recorded on December 19 & 20, 1986 at Blues Alley in Washington, D.C.