Clifford Brown / Clifford Brown Memorial

ブルーノートのアルバムMemorial Albumとタイトルが混同してしまう。本作はプレスティッジ版で、どちらも、1956年6月26日にクリフォード・ブラウンが交通事故で逝ってしまった直後にリリース。しかし、ブルーノート版が常に脚光を浴びている。その理由は2つ。

まず、本作はブラウンが主役ではない。2つのセッションにより構成されているが、前者はスウェーデンのグループにブラウンとアート・ファーマーが参加。後者はタッド・ダメロンのグループにブラウンが参加。ブラウンのトランペットを十分に堪能できるアルバムではないのだ。そして、ジャケット。雨に濡れるブランコと2台のすべり台。ブランコがブラウンで、すべり台が2つのセッションを示しているのだろうか。だとしても、ぱっとしないレイアウトである。そんなプレスティッジ版であるが、ブラウンの音源を辿る意味では重要。音質も決して悪くない。

1. Stockholm Sweetnin'
2. 'Scuse These Blues
3. Falling In Love With Love
4. Lover Come Back To Me
5. Philly J.J.
6. Dial "B" For Beauty
7. Theme Of No Repeat
8. Choose Now [take 1]
9. Choose Now [take 2]

Tracks 1-4 / Clifford Brown and Art Farmer with The Swedish All Stars
Clifford Brown - trumpet
Art Farmer - trumpet
Arne Domnerus - alto saxophone
Lars Gullin - baritone saxophone
Åke Persson - trombone
Bengt Hallberg - piano
Gunnar Johnson - double bass
Jack Noren - drums
Recorded on September 15, 1953 in Stockholm.

Tracks 5-9 / Tadd Dameron Orchestra featuring Clifford Brown
Clifford Brown - trumpet
Idrees Sulieman - trumpet
Benny Golson - tenor saxophone
Gigi Gryce - alto saxophone
Oscar Estell - baritone saxophone
Herb Mullins - trombone
Tadd Dameron - piano
Percy Heath - bass
Philly Joe Jones - drums
Recorded on June 11, 1953 in New York City.

Bud Powell / Hot House

Kindle読み放題で、原田和典氏の著書『世界最高のジャズ』を見つけた。その中で紹介されていたのが本作。5年余りをパリで過ごしたバド・パウエルが、ニューヨークに戻る直前にフランスの避暑地で録音したプライベート音源。原田氏は次のように書いている。

「パウエルにジョニー・グリフィンが真正面からぶつかり、技の応酬を聴かせてくれる。あきらかにパウエルがグリフィンに刺激され、彼のチョップを受け、それを切替えしているのがかわる。そりゃあ、このパウエルに40年代の機銃掃射のような音使いはもはや、ない。だがこの気迫を前にすると、運指の乱れなどを言及するのは愚の骨頂に思えてくる。モンクの曲を舞台に、パウエルとグリフィンが果てしなく燃え上がる〈ストレート・ノー・チェイサー〉1曲で、このアルバムは”買い”だ」。まさしく同感。しかし、グリフィンは全7曲中の3曲のみに参加なので、チョップの連打ではない。

1. Straight, No Chaser
2. Salt Peanuts
3. Move
4. Bean And The Boys
5. Wee
6. 52nd Street
7. Hot House

Johnny Griffin - tenor saxophone (tracks 1,5,7)
Bud Powell - piano
Guy Hayat - bass
Jacques Gervais - drums

Recorded on August 8-14, 1964 at "Hotel-Restaurant La Belle Escale", Edenville, France.

Joe Farrell / Joe Farrell Quartet

Kindle読み放題で見つけた書籍『ジャズ名盤30』。その30番目に紹介されたジョー・ファレルの初リーダーアルバム。この本の著者は、高田馬場のジャズ喫茶『マイルストーン』のマスター織戸優(おりと まさる)氏。本作を次のように評している。ちなみに、『マイルストーン』は2019年7月31日に閉店。

「本作は、ジョー・ファレルをリーダーとしているが、実質はマイルス・バンドを取り込んだチック・コリアのリーダー作だ。マイルスグループの緊張を強いられるハードなセッションで鍛え上げられたミュージシャン達によって強靭なサウンドが組み立てられる。〈中略〉その後におけるチック・コリアの歩みを予言する作品であり、生涯の傑作となった」。

織戸氏の「コリアの生涯の傑作」に魅かれて購入してみたが、自分にはコリア風味があまり感じられない。ましてや、ファレルはマイルスとのアルバムでの共演は全く無いのだ。ファレル以外のメンバーは、本作の1年前、マイルスのアルバムBitches Brewに参加。しかし、ファレルとしては、それはどうでもいいことで、初の自分名義のアルバムに全力投球したはずだ。全6曲中の4曲がファレルの作品であることも、それを示している。

1. Follow Your Heart
2. Collage For Polly
3. Circle In The Square
4. Molten Glass
5. Alter Ego
6. Song Of The Wind
7. Motion

Joe Farrell - tenor saxophone, flute, oboe
John McLaughlin - guitar (tracks 1,7)
Chick Corea - piano (except track 5)
Dave Holland - double bass (except track 6)
Jack DeJohnette - drums (except tracks 5,6)

Recorded on July 1 & 2, 1970 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey.